『麒麟がくる』ゆかりの地 光秀が焼き討ちした比叡山延暦寺 焼き討ち事件の真相は?

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比叡山焼き討ち 光秀の心中は?

信長やその家臣たちを描く戦国ドラマで、外せない(だろう)事件があります。

それが1571(元亀2)年の「比叡山焼き討ち」。

「信長が嫌い!」という人が、よくその理由として挙げる事件です。

悪逆な信長に対し、光秀はそれに反対する立場をとっていたというのが一般的な説でした。

例えば、昨年『麒麟がくるまで待てない!戦国大河ドラマ名場面スペシャル』でも紹介された『国盗り物語』。

高橋英樹さん扮する信長が、比叡山焼き討ちに反対する光秀(近藤正臣さん!)を罵倒するシーンがありました。

私もてっきり、光秀は神社仏閣、貴族や幕府など、古い体制にも価値を認め、守っていこうとした教養人だと思っていました。

ところが近年の「和田家文書」研究によると、光秀は延暦寺焼き討ちに際し、近江国雄琴(大津市)の和田氏など近隣の有力者を味方につける工作を行い、「敵方の村を撫で切り(皆殺し)にしてしまえば、我々の思い通りになるでしょう」と、積極的に比叡山焼き討ちに加担しているようなのです。

比叡山は北陸路と東国路の交差点にあたり、山上にある堂宇には数万人の兵を擁することもでき、京都を巡る攻防戦では戦略上重要な拠点でした。

信長は浅井・朝倉との戦いにおいて、比叡山に中立を求め、さもなくば焼き討ちすると何度も警告し、それでも比叡山が朝倉軍兵士を匿ったため、焼き討ちを決行したのです。

光秀にすれば、延暦寺に同情することなどあまりなかったかも知れません。

さすがに女子供まで皆殺しにしてしまうと、主人公である光秀のイメージが傷つくのか、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』では信長の命令に背き、女子供だけは逃がすよう家臣に命じていました。

真実はどうなのかな?

比叡山延暦寺 根本中堂の内部はほとんど撮影禁止

信長に焼き討ちされた比叡山延暦寺を訪れたのは、2011年6月のこと。

最澄が創建した天台宗の総本山。そして平安京の鬼門を守る、王城鎮護の大寺院です。

伝統ある建物や(うまくいけば)仏像の写真も撮れるかもしれないな、と思いながら、まず本堂にあたる根本中堂へと進んでいくと、内部は撮影禁止。ちょっとショック。

でも、「不滅の法灯」は見ることができました。私も一隅を照らす人になりたいな。

ちなみに信長の焼き討ちで、「不滅の法灯」は消えてしまいましたが、その30年ほど前、山形県の立石寺(りっしゃくじ)再建の際に分灯されていて、再度それを延暦寺に分灯したのだとか。

現在でも、分灯の儀式は行われているそうです。

70年前にも焼き討ちされていた比叡山! 信長は大量虐殺していない?

比叡山は「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」と呼ばれる3つのエリアに別れ、それぞれに本堂があり、現在では合計100ほどの堂宇があると言われています。

従来、信長は比叡山全山を焼き討ちし、約500棟の堂宇が消失。犠牲者も数千人と当時の史料に書かれています(『信長公記』やルイス=フロイスの『日本史』、当時の貴族の日記など)。

近年の考古学調査では、信長が焼き討ちする頃には建物の数は多くなく、信長が焼き討ちしたのは根本中堂と大講堂だけでは?との指摘も。

実は信長が焼き討ちする約70年前の1499年、室町幕府11代将軍を補佐する管領・細川政元は、対立する足利義稙(よしたね 前将軍)側についた比叡山を焼き討ちしているのです。

このとき山上の主要な堂宇は、かなり焼亡。

多くの堂宇は、信長時代にはすでに廃絶していたようです。再建が間に合わなかったのかな?

とすると、再建費用を捻出するために、延暦寺の僧兵たちが関所を設置して旅人から関銭(通行料)を取り立てたのかな?

延暦寺トップの天台座主(ざす)で正親町(おうぎまち)天皇の弟・覚恕(かくじょ)が、(大河ドラマでは特に)お金や権力に執着しているのは、昔のような荘厳華麗な仏教王国・比叡山延暦寺を再興したかったからかな?

慈覚大師円仁創建の文殊楼を参拝

信長が焼き討ちした根本中堂と大講堂は、いずれも比叡山の「東塔」エリア。

うかつにも大講堂は素通りしてしまったようです(記憶にない)。

そのかわり、根本中堂の東側にある文殊楼を参拝。

文殊楼へは、この高い石段を登ります。ご利益への道は険しい!

やっと到着! 最澄の時代からあった建物ではなく、最澄の弟子で唐に留学した円仁(慈覚大師)が、文殊菩薩の聖地・唐の五台山を訪れ、そこの文殊菩薩堂に倣って創建したものです。

「知恵の仏様」である文殊菩薩。修学旅行生らしき学生の団体など、多くの人たちが参拝していました。

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