奇岩・ゴトビキ岩とご対面!
2024年7月4日(木)、記録的な暑さの新宮駅(和歌山県新宮市)に降り立った私たちは、
徒歩20分かけて、熊野速玉大社の摂社・神倉神社へ向かいました。
源頼朝が寄進したという、急な石段538段を必死で登ること12,3分で
やっとゴールの兆しらしいものが見えてきました。
あともう少し! 分かれ道(右の石段)は無視して、鳥居の中へ入ってみると
驚くような光景! 神社の建物を押しつぶしかねない、大きな岩が鎮座しています。
この岩こそ、神倉神社のご神体であるゴトビキ岩。高さ約10mの流紋岩(火山岩)です。「ゴトビキ」とは、真宮地方の方言で、ヒキガエルのこと。ヒキガエルに岩は似ているかな?
熊野地方には、中新世中期(恐竜時代)に大きな火山やカルデラがあり、1度噴火した時、地球全体の気温は10℃以上低下して大量絶滅が起きたそうです。ゴトビキ岩は、このカルデラの記憶をわずかに残す、球形に風化した岩(コアストーン)なのでした。
熊野大神は、この岩に最初に降臨されたそうで、古代からの磐座(いわくら)信仰を伝えています。
社殿に参拝。せっかくここまで登ったのだから、御朱印も欲しかったのですが、神倉神社には常駐の神職がいないようで、御朱印は熊野速玉大社でもらう必要がありました。今回は時間がないので、速玉大社に行くことはできません。御朱印は断念しましたが、しっかりと旅の無事(山から無事に降りられますように)は祈りました。
山頂からの絶景と、恐怖の降り道
山頂からは、新宮市が一望! これはここに登った人しか、味わうことができない絶景です。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部となっているためか、外国人観光客も数名いました。
熊野川と、川を渡るJRの鉄橋。本当に見事な眺めです。晴れていてよかった。
絶景を堪能したところで、いよいよ降り道。バランス感覚が悪い私にとっては、登り道の数倍、怖くて気が重い道でした。石段の幅が狭く、不規則に積まれている急斜面の石段は、手すりもないので、恐ろしいことおびただしい。何かにつかまろうとすると、どうしても石段の端に行ってしまいますが、手水舎にあった立看板に
「石段の端は絶対歩かないこと。バランスを崩したら大けがをします」とあったので、ますます怖くなってきました。登るときには役立った杖が、降るときにはあまり役に立たず、首にかけたカメラやスマホをかばいながら、横歩きやお尻をつきながら降りるという、情けない姿で何とか無事に降りることができました。
御燈祭の若者はすごい!
毎年2月6日、一週間前から精進潔斎を続けた白装束の男子が「上り子(あがりこ)」として山上に登り、速玉大社から運ばれた迎火大松明の火を自分の松明へと移し、午後8時頃、一斉にこの急な石段を駆け降りて、我先に各自の家まで走り続ける「御燈祭(おとうまつり)」という祭りがあります。
勇壮な「熊野の火祭」として知られていますが、昼間でも怖いあの石段を、夜に駆け降りるなんて、人間業とも思えない! 怪我をする人はいないのかな? でも地元の人たちなら、小さい頃からきっと何度もあの石段を登り降りしているだろうし、慣れてきたら「目をつぶっていても降りられる」のかもしれません。
新宮駅の前には、御燈祭に参加する親子の像。松明を持って神倉山を駆け降りることができたら、「一人前の男」として尊敬されるでしょう。伝統の祭が、ずっと続いていけばいいなと思いました。
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