猿丸大夫の墓が芦屋にあった
2025年2月9日(日)、同じ兵庫県にありながら、今まであまりよく知らなかった芦屋の名所旧跡を訪れる機会がありました。最初に、平安初期の歌人・在原業平(ありわらのなりひら)の父・阿保(あぼ)親王の墓と伝わる阿保親王塚古墳を訪れた後、山の方にある芦屋神社へ向かいました。
本殿参拝や御朱印受領を終え、何気なく境内を見ていたら「伝 猿丸大夫の墓」という案内板を見つけました。

猿丸大夫と言えば、在原業平同様、平安時代の和歌の名手として知られ、小倉百人一首や三十六歌仙にも入っていますが、その実態は謎に包まれている人物。個人的には、猿丸大夫と言えば『猿丸幻視行』(井沢元彦)なのですが、ここに彼のお墓があるとは!

というわけで、興味津々、案内板に従って歩いてみました。

まず現れたのが、猿丸神社。

そしてその背後に、鎌倉時代後期(13世紀)の宝塔がありました。これがお墓のようです。

そういえば、神社の玉垣を見ていたら「猿丸」姓の奉納者名が複数ありました。後で知ったのですが、芦屋には猿丸大夫の子孫と称する旧家があり、戦後まもなく芦屋市長となった人物も猿丸家の出身なのだとか。芦屋と猿丸大夫の関係がこんなに強いなんて、全く知りませんでした。
境内摂社と境内古墳
芦屋神社は境内が広く、色々な摂社があります。

薄揚げがお供えされていた稲荷神社や

大国主命や菅原道真、竈神などを祀る出雲神社などもあったのですが

面白かったのは、龍神社でした。境内の中なのに、ちゃんと参道まであり

奉納されているのは、ワインかな? なかなかユニークです。

ぞじてこの龍神社の近くには、横穴式石室古墳! 「芦屋神社境内古墳」という名の、古墳時代後期(6世紀末~7世紀初頭)の横穴式石室を持つ円墳とのこと。

最初に訪れた阿保親王古墳より、約200年ほどのちの時代に造られたのかな。

案内板によると、芦屋市内において唯一、横穴式石室が完全に現存する古墳なのだとか。昔は多くの群集墳があったようですが、今はこの古墳しか残されていないようです。開発で破壊されてしまったのかな。

現在は「水神社」となり、石川県の白山連峰を守護する白山比咩(はくさんひめ)神社の神としても知られる菊理姫命(くくりひめのみこと)が祀られていました。
菊理姫命は水の神ですが、国生みの神である伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなぎのみこと)の夫婦神が、黄泉国(よみのくに=死者の国)の黄泉平坂(よもつひらさか)で争ったときに互いの主張を聞きいれて仲裁し、仲直りの神としても信仰されているそう。縁結びの神としても崇められています。なかなか横穴式古墳の石室を見る機会もないのですが、思わぬ場所に出会いがあったのでした。
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