駅からは遠い国宝浄土寺
2025年4月6日(日)、兵庫県小野市の「おの桜づつみ回廊」へ行ってきました。
最近はこの「おの桜づつみ回廊」が小野市の人気スポットのようですが、少し前までは、小野市と言えば国宝の浄土寺が有名観光地だったと思います。せっかくなので、以前(2021年12月)に訪問した時の様子をご紹介しましょう。
浄土寺の場所は、鉄道の駅からはかなり離れています。一番近そうな神戸電鉄小野駅からだと、徒歩で1時間ほど! 小野駅からは「らんらんバス」というコミュニティバスが浄土寺に停まりますが(北回り循環反時計回りルートor中谷ルート)、いずれも本数がとても少なく、私たちは小野駅からタクシーで向かいました。車だと10分程度です。
浄土寺が国宝の理由
浄土寺は、鎌倉時代の初期(1194年)、奈良東大寺大仏・大仏殿(源平の争乱で焼失)の復興に尽力した僧侶・重源(ちょうげん)により創建された寺院。

中国(宋)に渡った重源は、当時の宋の最新式建築技術を日本に導入し、「大仏様(だいぶつよう)」と呼ばれる建築スタイルとなりました。浄土寺浄土堂は、当時の建築様式をそのまま残す貴重な建物で、国宝に指定されています。12時~13時は昼休みの為拝観ができません。私たちは運悪く昼休み時間帯に来てしまい、他の場所を散策しながら待ちました。

内部は撮影できませんでしたが、有名な鎌倉時代の彫刻家・快慶作の阿弥陀三尊像(中央の阿弥陀如来像の高さは5m30cm)があり、これも国宝なのです。夕日が沈むころになると像が金色に輝いて、まるで西方極楽浄土に導いてくれそうな演出効果(写真は案内板より)。

この大きな像を安置する浄土堂は、天井を張らずに構造材をそのまま見せていますが、これが装飾になっています。工期短縮や経費節約にもなりますね。純粋な大仏様で造られた仏殿は、この浄土寺浄土堂しか現存例がないそうです。
浄土寺 国宝以外の見どころ
浄土堂とよく似たスタイル(壁には朱色はありません)の建物が、浄土寺の本堂である薬師堂。

浄土堂と同じく大仏様で建築されましたが、室町時代に焼失し、大仏様だけでなく他の建築スタイルも取り入れた折衷様(せっちゅうよう)で再建されました(重要文化財)。

この鳥居の向こうにある鎮守八幡神社の建物も、重要文化財。いずれも再建されたものですが、本殿は室町中期、拝殿は鎌倉後期の建築物。

この鐘楼は、江戸時代に再建されたもの。

芭蕉の句碑。全然読めませんでしたが、「すずしさは 飛騨の匠の 指図哉」と書かれているそうです。芭蕉は浄土寺を訪れていませんが、江戸時代後期、この地の俳句愛好者が建立したのだとか。

個人的に面白かったのが、「四国八十八か所石仏群」。

江戸時代後期になると、四国八十八か所への巡礼が流行しますが、巡礼に行きたくても行けない人々の為に、浄土寺の裏山に造られました。30分ほどで巡れるので、確かにお手頃かも。

1つの基礎の上には、札所の本尊と弘法大師の祠が並んで祀られています。

この時期、紅葉が美しかったのですが

紫陽花も咲いていたのが印象的でした。約3,000株の紫陽花が植えられているそうです。
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