アルルといえば、ゴッホの絵画や、ビゼー作曲『アルルの女』のメロディーが思い浮かぶくらいでしたが、現地に行ってみると、この町には古代ローマの遺跡がたくさんあることがわかりました。
「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建築物群」として、世界遺産にも登録されています。
カエサル(ジュリアス・シーザー)とアルル
ローヌ川の分岐点に位置するアルルは、古代ギリシア人やケルト人の支配を経て、やがて古代ローマの都市になりました。
当時のアルルは、アレラーテと呼ばれていたそうです。
この地方では、南東約80kmに位置する地中海沿いのマっサリア(現在のマルセイユ)の方が重要な都市であり、アルルはその陰に隠れていました。
ところがカエサルとポンペイウスが対立したとき、アルルはカエサルを支持し軍隊を派遣。
一方マっサリアは、ポンペイウスを支持していました。
カエサルの勝利が決定的になるとアルルの地位は高まり、紀元前46年、正式にローマ退役軍人のための植民都市となったのです。
そのため古代ローマ市民の生活に必要な、様々な施設が建設されました。
フォーロム広場
フォーロム(フォルム)とは、古代ローマ人の生活に欠かせない公共集会場で、商業の中心であり、政治・司法の集会や宗教儀式、その他あらゆる社会活動が行われていました。
そのフォーロムの跡が、カフェ・ヴァン・ゴッホなど多くのカフェやレストランでにぎわっている現在のフォーロム広場です。
よく見ると、古代ローマ時代の痕跡がありました。
ホテルの横にフォルムの遺構が隣接しています。
私達は訪れませんでしたが、この広場と「古代フォーロム地下回廊」という土台部分の遺跡とがセットになって、世界遺産に登録されているそうです。
円形闘技場
ローマ遺跡の代表的なものが、この円形闘技場。
2万人以上の観客を収容する、フランスで最大の円形闘技場だったそうです。
カエサルに味方した報奨だったのでしょう。
早速見学することにしましたが、巨大な建造物なので、まず入り口を探すのが一苦労。
これがチケットです(入場料は古代劇場と共通で、1人8ユーロ)。
内部も、とても見ごたえがありました。
今でも様々な催しで使われており、復活祭から9月までの間は、闘牛が見られるそうです。
古代遺跡の座席と、現代の座席が混在しているのが現役イベント会場らしい様子だなと思いました。
闘技場の最上部も、なかなか面白い眺めです。
でも一番素晴らしいのは、最上階から見るアルルの風景でした。
川を挟んでそびえる鐘楼は、ロマネスク様式のサン・トロフィーム教会です。
内部通路の窓からは、近くのマジョール教会がよく見えました。
古代劇場
古代ローマ遺跡で欠かせないものが、古代劇場です。
アルルでも、円形闘技場に隣接して、古代劇場の遺跡がありました。
円形闘技場と共通のチケットで入場できるのですが、私達は時間的な制約があり、今回は見学しませんでした。
それが少し心残り。
心残りといえば、世界遺産「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建築物群」に含まれている、ロマネスク様式の教会を訪れることもできませんでした。
やっぱり1拍して、ゆっくり観光しないとだめということでしょうか。
いつかまた訪れてみたいです。
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