スリランカ紀行 聖地アヌラーダプラ 祈りのスリー・マハー菩提樹

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菩提樹と白い服と日曜学校 同じ仏教国でもこんなに違う

次に訪れるのは、アヌラーダプラにあるスリー・マハー菩提樹です。

敬虔な仏教徒のランジェナさん(ツーリストカー・TOYOTAアリオンのフロントガラス近くには、水晶の仏像が鎮座しています)によると、スリランカの寺院には仏塔と並んで菩提樹が必ずあるのだとか。

日本の寺院には、五重塔とか三重塔はあっても、菩提樹はあちこちにあったかな?と思いながら車窓を見ると、もうすぐ稲刈りできそうな水田(スリランカもお米は二期作です)。

今日は日曜日なのですが、道を走っていると白い服装の人たちをたくさん見ました。

スリランカの仏教徒は日曜日、仏教やお経を学ぶ日曜学校があるため、白い服装でお寺に行くのだとランジェナさんに教えてもらいました。

日曜学校って、キリスト教だけのものだと思っていました。

日本ではあまり宗教教育は行われていなくて、私も一応仏教徒のつもりだけれど、お釈迦様は何歳でお亡くなりになった?という娘の問いには、スマホで検索しないと答えられません。

ランジェナさんがすらっと、「80歳ですよ」と答えたのには驚きました。

さすが日曜学校で勉強している仏教徒です。

娘はそのことより、お釈迦様がとても長生きしたことに驚いていましたが(ちなみに死因は腹痛です)。

そもそも菩提樹とは

お釈迦様がその木の根元に座って瞑想し、ついに悟りを開いたという、仏教徒にとっては聖なる木です。

スリー・マハー菩提樹は、そのお釈迦様の菩提樹の分木をインドのアショーカ王の王女サンガミッタがもたらし、当時のスリランカ国王デーワーナンピヤ・ティッサが植樹したものだとか。

正真正銘の聖なる菩提樹なのです!

ちなみにこの国王は、イスルムニヤ精舎も建立しています。

スリランカの仏教は上座部仏教と呼ばれ、お釈迦様生前の教えに忠実に従い、悟りを開くのを目標としているので、悟りの象徴ともいえる菩提樹は、とても大切なのでしょう。

日本の仏教は大乗仏教で、自分が悟りを開くよりも、もっと民衆の中に入って人々を救うことを重視しています。

加えてお釈迦様の菩提樹はインドボダイジュ(クワ科)で、日本では越冬が難しいため、葉の形が似ているボダイジュ(シナノキ科)を植えているそうです。

日本には「本当の菩提樹」がなかったのですね。

五色の旗

目的地が近づくと、今まで見たことのない旗がたくさん掲げられていました。

ランジェナさんによると、これは仏教の旗なのだとか。

よく見ると五色の旗のようで、確か日本の寺院でも、五色の幕があったはずだけれど、それとも少し色合いが違っていました。

後で調べてみると、これは1885(明治18)年にスリランカでデザインされた、「国際仏旗」というもの。

青(仏陀の頭髪)・黄(仏陀の身体)・赤(仏陀の血液)・白(仏陀の歯)・橙(仏陀の袈裟)を表しているのだとか。

日本の場合は、緑・黄・赤・白・紫です(「五色(仏教)」ウィキペディア)

普通の菩提樹

車を降りて、いよいよ菩提樹にご対面かと思ったら、まずは普通の菩提樹が迎えてくれました。

聖なる菩提樹には触れることはできないようですが、普通の菩提樹は大丈夫らしく、絵馬のようなもの(ワウという旗の連なり)が木に結ばれていました。

おみくじのように結んでいるものもあり、どこの国でも考えることは一緒なんだなと、ちょっとほほえましいです。

聖なる菩提樹

インドから運ばれた聖なる菩提樹は、厳重な囲いの中に、黄金の支柱と共に鎮座していました。

紀元前288年に植樹されたこの聖なる菩提樹は、人間により植樹された樹木としては最古のもの。

残念なことに本場インドのブッダガヤにあった聖なる菩提樹は枯れてしまい、現在はここスリー・マハー菩提樹から育てられた菩提樹が植えられているそうです。

ますますありがたみが増してきました!

19世紀に入り、象などの野生動物から聖なる菩提樹を守るため高台にして厳重に囲われ、ガードストーンが守る石段を登って参拝します。

四方に参拝できる場所がありました。

お供え物を捧げ、真剣に祈る人々。写真を撮るのが申し訳なくなります。

本堂と思われる場所にあった、大きな仏像。

子供が欲しいという願いがかなった人たちが、子供を連れてお礼参りに来ているようです。

ワウ(機の連なり)は願いの叶った人達が、鉄柵に結び付けるものなのだとか。

御利益がすごそうです。

境内を少し出ると、団体の参拝客に出逢いました。

遠くの村から参拝に来ているようで、人々の信心深さがひしひしと伝わってきます。

豊かな自然を実感

帰りがけに猿がたくさんいましたが、特に私達を怖がるわけでも、いたずらをするわけでもありません。

スリランカの固有種、ハイイロオナガザルでしょうか。

写真には撮れませんでしたが、リスもよく見かけました。

これはジャックフルーツという果実ですが、日本では「波羅蜜」と呼ばれていると初めて知りました。

京都にある「六波羅蜜寺」の「波羅蜜」とはまた別のようですが、菩提樹といい波羅蜜といい、仏教に縁のある言葉だなと思いました。

ローハ・プラサーダ(黄銅宮殿)

スリー・マハー菩提樹に隣接する、紀元前2世紀に建てられた僧院の跡です。

創建当時は黄金色の屋根があり、木造9階建て!で100の部屋があったとか。

部屋はサンゴや銀で飾られていたと言われます。

上座部仏教では、厳しい戒律を守り(肉食妻帯なんてどんてもない!)修業に励む僧侶は、悟りを開ける少数エリートとして、人々からとても大切にされています。

この周辺の遺跡も僧院で、多くの僧侶たちが聖なる菩提樹の近くで悟りを開こうとしていたのだなと思われました。

 

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