鎌倉の長谷寺
高徳院の鎌倉大仏の拝観を終えた私達は、夫の強い希望で、近くの長谷寺(はせでら)へ向かいました。
最寄り駅の江ノ電の駅名に「長谷」とあるくらいだから、とても有名な寺院だと思うのですが、関西人の私はこの寺院のことをほとんど知りませんでした。
「長谷寺」と言えば、牡丹の花で有名な、奈良県桜井市の長谷寺しか思い浮かばないのです。
鎌倉の長谷寺について調べてみると、奈良の長谷寺と同じ楠の大木から彫られたという十一面観音がご本尊でした。
鎌倉の大仏と同様に、いつ、誰が創建したかはわかりませんが、寺の梵鐘の銘により、1264(文永元)年にはこの寺院は存在していた(蒙古襲来の10年前です)ことは確実。
当時は「新長谷寺」と呼ばれていたそうで、鶴岡八幡宮と同様、京都や奈良にある社寺を鎌倉にも建立しようとした一環かなと思われました。
奈良の長谷寺と同じように、鎌倉の長谷寺も観音霊場の札所として人気のようです。
観音様を参拝
私達が長谷寺を訪れたのは、10月21日(土)の午後4時過ぎ。
これが山門で、赤い提灯が印象的。
この石塔も気になりました。
のんびり撮影しているわけにもいかなくなりました。
10月から冬時間なので、拝観は16:30までなのです。
拝観料は大人300円(Suicaも使えるそうです)。
17:00には閉山するというので、ものすごく慌ただしい参拝となりました。
時間が気になるので、広い境内を、まずは観音堂目指して一目散に進みます。
ご本尊は、奈良の長谷寺の観音様と同じ姿をしておられるという、とても大きな観音像。
国内最大級だそうです。
右手に数珠と錫杖、左手に水瓶を持つ、「長谷寺式」と呼ばれる姿で、同じような観音様が全国各地で「長谷寺の観音」として信仰を集めています。
奈良の長谷寺の観音様がとても霊験あらたかで、平安時代に長谷寺信仰は全国に広がり、各地に「長谷寺」「新長谷寺」が建立されたのだとか。
そう言えば、『源氏物語』にも長谷寺の観音様は登場し、玉鬘(たまかずら)という女性が光源氏の屋敷(六条院)に保護されたのも、観音様の霊験のおかげとなっています。
奈良から遠い鎌倉でも、奈良の長谷寺と同じ姿の観音様に祈れば、霊験あらたかであると信じられたのでしょう。
素晴らしい眺望
奈良の長谷寺は牡丹を中心に「花の寺」として親しまれ、回廊(登廊)や懸造り(舞台造り)の本堂などが有名です。
鎌倉の長谷寺もあじさいや紅葉など「花の寺」として有名で、四季おりおりの花で浄土を表現していると言うことでした。
この日も、台風前夜でしたが、とても庭園が美しいなと思いました。
一番の奈良の長谷寺との違いは、海が見える眺望が楽しめることでしょう。
もっとお天気が良ければさぞかしいい眺めだったろうと思われますが、それでも鎌倉の町や相模湾が一望できて、素晴らしい眺望でした。
阿弥陀堂と地蔵堂
観音堂の右手にある阿弥陀堂の本尊は、源頼朝が42歳の厄除けのため建立したという伝承があります。
最初から長谷寺に安置されていたのではなく、元々は誓願寺という廃寺の本尊だったようです。
「厄除阿弥陀」と呼ばれ、「鎌倉六阿弥陀」の1つとされています。
ちなみに高徳院の鎌倉大仏も、阿弥陀如来なので、「鎌倉六阿弥陀」の1つに数えられています。
参道の途中に建つ地蔵堂は、2003年に再建された新しいもので、「子安・繁栄」の御利益があるそうです。
時間があれば見たかった場所
鎌倉の長谷寺の境内には、たくさんの心惹かれる建物がありました。
一番心残りだったのは、「観音ミュージアム」に行けなかったこと。
入場は16:00まででした。
長谷寺とは別途に、入場料が大人300円必要ですが、ずらりと並んだ33体の観音様に囲まれてみたかったし(実は観音様大好き)、絵巻物の複製を手で触って、絵巻物の見方を体験してみたかったです。
また台風が接近していたためか、それとも入山したのが遅すぎたためか、「弁天窟」も閉鎖されていました。
まぁ弁天様は、午前中に江ノ島でお会いできたのであきらめもつきました。
でもやっぱり長谷寺は、天気のいい日にゆっくり拝観する必要がありますね。
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