元町のシンボル ゴージャスな洋館
函館観光でほとんどの人が訪れる場所の一つが、この旧函館区公会堂。
昨日、実家の写真整理をしていたら、1997年8月に、両親がこの場所で撮影した写真がありました。
私も以前訪れたことがありますが、冬の、しかも雪景色の中の建物を見るのは初めて。
なんといっても建物の色!ブルーグレーとイエローの外観が目を引きます。
1907(明治40)年の函館大火により、それまで住民が集会所として使用していた町会所が焼失し、新たな集会所として建築されたコロニアル様式の洋館です。
当時最先端のモダンな建物は、北海道屈指の実業家・相馬哲平による多額の寄付をもとに建築されました。
建物は左右対称で、左右に1つずつある屋根裏窓は、北海道独特の洋館スタイルだそうです。
皇太子殿下の宿舎にもなった公会堂
入館券は、公会堂のみ(300円)の他、旧イギリス領事館、北方民族資料館、文学館との共通入場券(2館500円、3館720円、4館840円)もありました。
私達は、函館市旧イギリス領事館も見学予定だったので、2館共通券を購入。
建物内部も、外観に負けず劣らずゴージャスでした。ルネサンス式の館内装飾だそうです。
商業会議所事務室。立派な事務室です。
商業会議所応接室です。
またこの建物は、皇太子時代の大正天皇の宿舎として利用され、昭和天皇も皇太子時代にここに立ち寄ったそうです。
1989(平成元)年には、天皇・皇后両陛下がここで休憩されたとか。
そうなるとトイレも(砂や杉の葉が入れられた引出し式の便受箱になっていて、使用後は侍医が検査したそうです)
浴室も(手前が脱衣室、奥が浴室ですが、浴槽は持参なさったそうです)
それなりに整えなければなりません。
壁や天井に、植物模様(アールヌーボー様式)の外国製壁紙が貼られた御座所。
真鍮パイプのベッド(当時は高級)が置かれた御寝室。
椅子の布地などはすべて高級な絹を織ったものだそうです。
皇太子時代の大正天皇が、お召し替えの場として使用した予備室。
他にも食堂用の予備室などもあり、天皇や皇太子の宿舎としても申し分ないなと思われました。
歴史の重みを感じた大広間
この公会堂内部で最も印象的だったのが、この大広間。
音楽会や舞踏会など、様々な催し物がここで行われ、現在もコンサートホールとして利用されています。
ロシア副領事夫妻を招いての祝賀会や函館初のレコード演奏会(ビクターレコード名曲演奏会)も開かれたし、芥川龍之介と里見弴(さとみとん)という人気作家2人の講演会には、1,000人の聴衆が詰めかけたのだとか。
海軍や進駐軍も使用し、病院が移転してきたこともあり、函館地方の海難審判庁としても利用され、1954(昭和29)年に起きた日本最大の海難事故・洞爺丸事故(台風15号で青函連絡船の洞爺丸が沈没。死者・行方不明者1,155人)の海難審判も、この公会堂で開かれたのでした。
洞爺丸の事故をきっかけとして、青函トンネル構想が急速に具体化され、2016年には北海道新幹線も開業しましたが、青函連絡船や洞爺丸事故のことは忘れ去られようとしているのでしょうか。
ハイカラ衣装で明治にタイムスリップ!
2階にある大広間やバルコニーで、素敵なドレスを着用して写真を撮ってもらっている女性がいました。
公会堂には「ハイカラ衣装館」が設置されており、20分間1,000円(税込)で好みの1着をレンタルし、館内のどこでも撮影体験ができます。
タキシードやドレスのレンタルだけでなく、女性はヘアメイクやワンポイントメイクを別料金1,000円(税込)で申し込めるようです。
下の2枚はパンフレットから引用しました。撮影用に公会堂が描かれた書割も用意されています。
この日はレンタル衣装の人を3人ほど見ましたが、全員女性でした。
繁忙期になると、1日300人が体験するそうです。予約は不可ですが、時間があればやってみるのも面白そう。
やはり洋館には、ドレスがよく似合いますね。
バルコニーの窓からは、港と町並みがきれいに見えて、とても長めがいい。
次に行く函館市旧イギリス領事館はどこかな?とガイドブックの地図を見ながら、景色と照らし合わせてみると、どうやら雪の坂道を下ることになりそう(怖)。
どうか無事にたどり着けますように。
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