2017年4月2日(日)、島津家別邸・仙厳園(せんがんえん)と隣接する尚古集成館を訪ねました。
仙厳園は広いし、見どころも多いし、1日あっても足りないくらいでした。
磯御殿の庭園
元々仙厳園は、薩摩藩主島津家の別邸と庭園。
桜島を築山に、錦江湾を池に見立てた絶景が楽しめる広大な庭園は、世界遺産にこそ登録されていないけれど、鹿児島に来たら必見です!
これは仙巌園の正門。
昔はこのまま、海に行けたそうです。開放的でいいですね。この辺り、泳げたのかな?
こちらの赤い門は、錫門(すずもん)。屋根を、鹿児島特産の錫で葺いています。
江戸時代は、藩主と世子(お世継ぎ)しか通ることを許されませんでした。
この美しい朱色の門を管理するため、漢方医たちが毎日手入れをしたそうです。
石燈籠とお菓子泥棒
庭園にある、獅子乗大石灯篭。園内で、最も大きな石灯篭です。
石燈籠の上に、獅子(飛獅子)が載っているように見えるこの大きな石灯篭は、明治になって、島津忠義が造らせたもの。つまり島津斉彬は、見ていません。
飛獅子は桜島の方を向いているとか。
『西郷どん』第1話で、子供時代の西郷吉之助が、友人たちとお菓子を盗みに入った時、この灯篭のあたりを通り、
仙厳園内の川を渡ったり、竹林を抜けたりして、最後は島津斉彬に出会うというストーリーでした。
吉之助たちが、お菓子を盗みに来たのが、この磯御殿。
廃藩置県を知った島津久光が、怒りのあまり一晩中花火をぶっ放していたのも、この場所でした。
残念ながら、私たちのチケットは、磯御殿の料金が含まれていないチケット(庭園と尚古集成館との共通券 大人1,000円)だったので、御殿内部を拝観することはできませんでした。
庭園と尚古集成館、御殿の共通チケットは、大人1,300円です。
御殿内部は拝観できなかったけれど、庭園はとても見どころがありました。
千尋巌と島津斉興
この山の中腹にある巨大な石は、千尋巌(せんじんがん)。
11mある巨岩に、千尋巌の3文字が刻まれています。千尋巌とは、「とても大きな岩」という意味。
これは島津斉彬や久光の父である斉興(なりおき)の時代、延べ3,900人が3ヶ月かけて刻んだもの。
3つの文字は、胡粉(こふん)という白い顔料で塗られています。
景勝地の岩に文字を彫ることは中国でよく見られますが、ここにも中国文化の影響がうかがえます。
大河ドラマ『西郷どん』では、斉彬との父子対決ロシアンルーレットシーンが印象的だった斉興さま。
こんなすごい工事もさせていたとはびっくり!
猫神さまに祈りを
私は猫が大好きです。
以前、『猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる』という本を読んだのですが(今も家にあります)、その時気になったのが、猫神さま。
仙厳園の一角に、秀吉の朝鮮出兵に従軍した島津義弘が連れて行った猫の霊が、祀られている場所があるというのです。
昔は小さな塚だったのに、著者の田中貴子さんが20年ぶりに訪れると、立派な神社になっていて驚いたそう。
運よく私たちも、迷わず猫神さまの神社にたどり着けました。
ちゃんとグーグルマップにも紹介されていてびっくり!
島津義弘は朝鮮出兵に7匹の猫を連れて行き、猫の目の瞳孔の開き具合で、時間を推測したと言われています。
島津家は(というか戦国時代は)、日の出と日の入、または夜明けと日暮れの間をそれぞれ6等分する不定時法が用いられていました。
時間感覚は、今と比べると大雑把ですが、雨や曇りなどで太陽の様子がわかりにくい時には、猫の瞳を観察してでも、時刻を知る必要があったのでしょう。
特に、命の危険が大きい異国での戦場となると、時刻を知るのも危機回避につながりそうです。
7匹のうち2匹が生還し(残りの5匹は戦地で死にました。涙)、その2匹の霊が祀られたのです。
いつの日か猫と暮らせるように、猫と仲良くできるように、猫の神さまに祈りを捧げました。
愛猫の健康や幸せを祈る絵馬が、たくさん掛けられています。
今でも6月10日の時の記念日には、鹿児島市の時計業者の方々のお祭りが、行われているそうです。
絵馬に描かれている2匹の猫が、生還した猫の「ヤス」と「ミケ」。
この猫神社のそばにあるショップ「紙ふうせん」では、この猫の絵馬や、猫グッズなどを取り扱っています。
猫を愛する愛猫家の皆さん。ぜひ日本に一つしかないという、猫を祀った猫神さまに、愛する猫との幸せを祈ってください。
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