深沙大王堂に祀られている「深沙大王」ってどんな神?
2020年11月21日(土)~23日(月)、関東にいる子どもたちを訪ねて、東京に行きました。
吉祥寺界隈を散策したあとは、
長男の行きたい場所・深大寺(じんだいじ)へ向かいました。
この一帯は湧水が多く、田畑を潤す水に対する信仰が昔からあったそう。
その水車小屋(深大寺水車館)の近くには、こんなお堂が。絵馬がたくさんかかっているので、きっと霊験あらたかな場所だろうなと思いました。
この時は前を素通りせざるを得ませんでしたが、後で調べてみると面白いことが分かりました。
お堂の名前は「深沙大王堂」。深沙大王とは仏教の善神(大般若経の守護神)の1人で、砂漠で危難を救う神。
あの玄奘三蔵(三蔵法師)が経典を求めてインドを目指したとき、砂漠で彼を守護したのだとか。
どうもこの深沙大王という神様は水神で、『西遊記』の沙悟浄(ちょっとクールなイメージがあります)のモデルにもなった神様らしい。
この神は髑髏の首飾りをしているらしく、懐かしいドラマ『西遊記』でも、岸部シローさんの沙悟浄が、髑髏のネックレスをしていたような記憶があります。
深沙大王がいなければ深大寺はなかった?!
昔々、この辺りにいた郷長(さとおさ=村長)の娘が、ある青年と恋仲になりました。
しかし両親は娘の恋に反対し、娘を湖中の島へ匿ってしまいます。
悲しんだ青年は、玄奘三蔵を助けた水神・深沙大王の故事を思い浮かべ、一心に祈ると、なんと霊亀が出現!
彼はまるで浦島太郎のように亀の背中に乗り、島へ渡って娘と逢うことができました。
この奇跡に娘の両親も2人の仲を許し、生まれた子供はのちに僧侶となり、満功(まんくう)上人と呼ばれて深大寺の開祖となったのだとか。
この話は、深大寺HPで解説されている『深大寺縁起絵巻』に伝わる話ですが、浦島太郎のように亀に乗った人物は、今年6月に訪れた元伊勢・籠神社で見た倭宿禰命(やまとすくねのみこと)しか知りません(写真上)。
私が知らないだけで、日本各地には、他にも亀に乗った人の伝説があるのかな? 私も乗ってみたい!
深沙大王のお姿とは
深沙大王堂の裏手には、この地の水源となる泉もあるそうです。
深沙大王堂は、深大寺やこの地域にとって欠かせない、大切な場所だったのですね。
昔はもっともっと大きなお堂だったようですが、明治の神仏分離令の影響で取り壊されてしまいました。
今のお堂は、昭和の時代に再建されたもののようです。
ご本尊の深沙大王は秘仏ですが、髑髏の首飾りを付け、象皮の袴をはいて忿怒の形相すさまじいとか。
『西遊記』のイメージとは大違いですが、病気を癒し、魔事を遠ざけるためにはピッタリのお姿。
前を素通りしたことが悔やまれます。いつか機会があったら、しっかり参拝したいな。
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