フロントでもらえるパンフレット片手にホテル探検
2022年9月3日(土)、初めて奈良ホテルにキャンペーン価格で宿泊しました。
チェックインの時、フロントのスタッフから「奈良ホテルに宿泊されるのは初めてですか?」と尋ねられ、「はい」と答えると、パンフレットをくれました。
奈良ホテル館内にある調度品や美術品が紹介され、どこにあるかも載っています。これは便利!
客室に入って一休みした後、早速パンフレット片手にホテル探検です!
大階段とフロント周辺
奈良ホテル独特なのが、正面の大階段。
そして大階段を上がった部分の吹き抜けです。
和風シャンデリアは、釣灯篭をイメージしたという重厚感のあるデザイン。吹き抜け周囲には多くの絵が飾られていますが、
この聖徳太子伝説を題材にした池田寒山の絵(「片岡山の飢人に施衣」)は、本で見たことがありました。
手すりには所々に、擬宝珠(ぎぼし)という、ねぎの頭に似た飾りがあります。元々は真鍮製だったのですが戦争中の金属不足の際に供出され、代わりに奈良の伝統工芸品「赤膚焼」で製作されてホテルの名物になったとか。
フロントの向かいには、鳥居とマントルピースという和洋折衷の調度品! 唐獅子もありますね。
こういう装飾が、外国人観光客には好評だったのかもしれません。
同じく外国人観光客に好評だったのが、外国人観光客誘致のため、当時の鉄道省観光局が昭和10年ごろにポスターに使用した作品。女性として初めて文化勲章を受章した、上村松園の「花嫁」という作品でした。
ロビー「桜の間」
ロビー「桜の間」は、17:00 ~ 20:00の間は宿泊者専用ラウンジとなって、
コーヒーやジュースなどのフリードリンクを楽しむことができます。
ここにも面白いものがいろいろありました。一番見たかったのが、アインシュタインが弾いたというピアノ。
戦後の混乱期に行方不明になっていましたが(進駐軍の接収を防ぐため、「交通科学博物館」に保管されていたそうです)、63年ぶりに見つかったのだとか。詳しくはこちらをご覧ください。
1990(平成2)年に、今上天皇即位の際に設置した「平成の大時計」。クラシックな振り子時計です。
15分ごとにメロディーが流れます(オリジナル?)。両陛下も気に入られたとか。
私たちは窓辺でコーヒーを頂いたのですが、
窓から見えるこの欄干にもドラマが。奈良ホテルは進駐軍に接収されたのですが、進駐軍兵士による「白木仕上げの内外装は不潔だからペンキを塗れ」という要求に当時の日本人支配人が必死に抵抗し、欄干など手が触れる部分だけ、神社のような丹色の塗装にしたそうです。美意識が違うのですね。当時の苦労がしのばれます。
この絵は堂本印象の「神路山」。
他にもたくさんの絵が飾られていました。
廊下と新館玄関
奈良ホテルの廊下は、客室同様天井が高く、
窓も古い時代を感じさせます。
廊下のあちこちには、銀色のスチーム暖房機が置かれていました。
暖房器具ですが、皇族や国賓クラスが宿泊するため、ここにも美しい彫刻が施されています。ちなみに現在は使用されていないとのこと。
ただ、当時最先端の西洋風機械の横に、いかにも日本風の防火バケツがあるのが面白いですね!
今回私たちは本館に宿泊したので、新館の客室部分には行けなかったのですが、
後で調べてみると、新館は丘の斜面を削って建設されたため、本館の1階と新館4階は同一平面なのだそう。
増築されると複雑な構造になるホテルが多いのですが、奈良ホテルも面白い構造になっているようです。
本館との連結部にある新館の玄関には、東大寺大仏殿の屋根にもみられる鴟尾(しび)があり、「古都奈良に来たな」という感慨が高まります。本館に泊まるとどうしても新館の玄関に立ち寄る機会がないですが、ぜひ足を延ばして見てくださいね。
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