2022年10月15日(土)から、1泊2日で奈良県各地を訪れました。
予定にはなかった榛原駅前の散策
初日に奈良県桜井市の大神神社、橿原市のおふさ観音と橿原神宮を参拝した私たちは、
宇陀市にある今夜の宿・たまご肌美人の湯美榛苑(みはるえん)に行くため、近鉄で榛原(はいばら)駅へと移動しました。
榛原駅前から美榛苑まで、送迎バスがあるのです。
ところが送迎バスは1時間に1本しかなく(毎時10分)、私たちが榛原駅に到着した時にはかなりの待ち時間がありました。
40分ほどぼーっと待っているのは嫌だし、タクシーを呼ぶのもちょっと抵抗があるし。
ということで、榛原駅前にあった宇陀市観光案内所で見どころを教えてもらったところ、なかなか面白い体験ができたので、紹介します。
大衆演劇場やまと座
駅前には商店街があり、高級和牛を扱う店などがあるのですが、私たちが気になったのは
この劇場。大衆演劇の劇場・やまと座です。平成16年にオープンした、奈良県初の大衆演劇場。
大衆演劇人気が低迷し、劇場が次々閉館していた時期もありましたが、近ごろはまた注目されているようですね。
この劇場は、この辺りの商店街と提携しているようで、あちこちの店に公演ポスターが掲示されていました。人情芝居や歌謡ショーなど、おなじみの演目ですが楽しそう。
この日は劇団松丸家と下町かぶき組の昴斗真(すばる とうま)さんの公演が行われていました。
美榛苑に宿泊するけれど、17:30~開始の夜の部を見るために、シャトルバスで美榛苑から榛原駅前に来た人たちがたくさんいたので、人気の劇団なのかもしれません。
伊勢への道が交わる場所
やまと座をさらに東の方向へ進んでいくと、
昔ながらの街並みが残る一角がありました。
ここは池田家住宅。街道を守り、伊勢神宮参詣者へ無償の奉仕をしていたのだとか。
現在は、伊勢本街道保存会の事務局になっているようです。
この辺りは、旧伊勢本街道の面影を残している街並みでした。
近鉄大阪線の高架を潜り抜けた先には、大きな燈籠。江戸時代後期(1828年)に建てられた太神宮燈籠で、伊勢街道の目印です。
そしてその近くには、この道標。「右いせ本かい道、左あおこえみち」と書かれています。
「あおこえみち」とは青越え伊勢街道(初瀬街道)とも呼ばれ、大和と伊勢神宮を結ぶ道のうち、比較的平地の多い青山高原を越える街道です。壬申の乱の際には、大海人皇子も利用したのだとか。
一方、伊勢本街道は津市と松阪市の間にある櫃坂(ひつさか)峠や、飼坂峠(津市)という難所を通る必要がありました。
この街道の分岐点が、江戸時代には高札も掲げられていた「札ノ辻」という道標のある場所。この辺りは「萩原宿」と呼ばれていたのです。
その近くにあるのが、本居宣長も宿泊したという旅籠・あぶらやです。明治末頃まで営業していたのだとか。
残念ながら訪れた時は、開館時間が終了していたので内部見学ができませんでしたが、外観を見ているだけでも、当時の雰囲気が偲ばれます。
当初の予定では、榛原駅前は通過するだけの場所だったのですが、こんな風に観光案内所で見どころを教えていただき、思わぬ収穫があってよかったです。それにしても、奈良県はなかなか味わい深いですね。
コメントを残す