2022年11月17日(木)、大津市散策の2日目。瀬田の唐橋や後建部(たけべ)大社を訪れた後、石山寺へ向かいました。
天然記念物の上に建つ石山寺本堂
石山寺はその名の通り、大きな岩山(標高239mの伽藍山)に建つ寺院です。
受付から石段を上ると中庭に出ますが、
この正面にに凹凸のある奇怪な形状をした巨岩がありました。これが国の天然記念物になっている「石山寺珪灰石(けいかいせき)」。石灰岩が地中から突出した花崗岩と接触し、その熱作用により変質したものですが、この巨大な珪灰石は、石山寺の開祖良弁(ろうべん)が訪れた奈良時代から大切に守られていました。このように大きなものは珍しいそうです。
石山寺本堂は、この石山寺珪灰石の上に建てられました。良弁が聖徳太子の念持仏であった如意輪観音を岩の上に祀り、草案を建てたのが石山寺の始まりと言われています。華厳宗から真言宗へと変わりましたが、秘仏の如意輪観音は安産・福徳・縁結びに霊験あらたかとして、西国三十三所観音札所の第十三番札所にもなっています。
以前頂いた御朱印(300円)です。次回厨子の扉が開き、秘仏の観音様を拝めるのは2047年だとか。行ってみたいな。
『源氏物語』の着想を得た紫式部
平安時代には京都の清水寺や奈良の長谷寺と並んで「三観音」とされ、多くの信仰を集めた石山寺。
平安女流文学と石山寺にも深い関係があり、『枕草子』『蜻蛉日記』『更級日記』『和泉式部日記』にも石山寺のことは描かれています。
しかしもっとも有名なのは、紫式部が『源氏物語』を石山寺参籠(ある期間籠って祈願する)中に起筆したという伝説。
1004年の8月十五夜の名月の晩に、「須磨」「明石」の巻の発想を得たとされています。当時紫式部は夫と死別し、その現実を忘れるために物語を書き始めたのだとか。
石山寺本堂にはこの伝説にちなみ、「源氏の間」が造られています。
石山寺は「近江八景」でも「石山秋月」として月の名所として知られているのですが、紅葉の名所でもあります。
本堂から見た紅葉も、なかなか美しいものでした。
本堂以外の紫式部にちなむ場所
もし春と秋に石山寺に行く機会があれば、豊浄殿(宝物館)で開催される『石山寺と紫式部展』(入館料大人300円)はお勧めです。
今年(2022年秋)はNHK大河ドラマにあやかった『鎌倉殿と多宝塔』という企画で、
源頼朝と光源氏の「2つの源氏」についての展示が面白かったです。
紫式部の供養塔(左)も、松尾芭蕉の句碑と並んでいました。
広い石山寺の境内には、多くの伽藍がありますが、これは高台にある光堂。石山を発祥の地とする東レ株式会社によって2008年に寄進された、本堂と同じ懸崖造りの建物で、本尊は阿弥陀如来だそうです。これは紫式部と関係ないのですが
光堂の下に、紫式部の銅像がありました。以前来た時は気が付かなかったのですが、いつ造立されたのかな。
紅葉と花が美しい境内と名物スイーツ
石山寺は「花の寺」と呼ばれ、四季折々の花が咲き誇っています。
もちろんこの時期は紅葉が主役ですが、
山茶花も美しく咲いていました。
無憂園という庭も、紅葉が盛りで見ごたえがありました。
帰りに門前の叶匠寿庵で、西国三十三所スイーツ巡礼でも紹介されている伝統の和菓子「あも」(1,296円)を、
しが周遊クーポンも利用して購入。
兵庫県丹波市春日地方で生産される希少な丹波大納言小豆を使用したお菓子で、パッケージもとても美しく、いいお土産になりました。
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