満願の証がずらりと並ぶ笈摺堂
2022年12月、40年以上かけて、西国三十三所観音霊場の札所をすべて参拝することができました。
最後の札所(33番札所)は、岐阜県揖斐川町にある谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)。本堂で参拝を済ませ、3種類の御朱印も頂きました。
次は本堂の背後(西側)にある笈摺(おいずる)堂の参拝です。今まで雨が降っていた天気が一転、晴れてきて、とても神秘的な気持ちになれました。
笈摺というのは、巡礼の時に、荷物を背負うことで衣服が擦り切れることを防ぐために上に羽織る単(ひとえ)の上着。袖のあるものとないものがあるそうです。伝説では、西国三十三所霊場を巡った花山法皇は、ここで笈摺と杖、そして三種の御詠歌を奉納したとか。
満願となった巡礼者が、巡礼中に着用していた笈摺を脱いでここに奉納することが広く行われていました。私には笈摺はありませんが、40年ほどずっと気にかかっていた札所巡りを成し遂げて、とても嬉しくありがたい気持ちになりました。
よく見ると、三十三か所の御朱印が押されているものも! 私だったら記念にとっておいて、死装束として使いたいです。全部で何着くらいあるのかな? ちなみに「笈摺」が「折り鶴」と訛ってしまったため、折り鶴もたくさん奉納されていました。
子安堂と満願堂
笈摺堂の隣にあったのが子安堂。
安産や子授け、子供の健康などの願い事を記したよだれかけが奉納されています。
そしてそこから少し離れたところにあるのが
満願堂への入口。この階段を上ったところにあるのが、満願堂。階段は33段ありました。
満願堂です。巡礼者はここで納め札(名前・住所・願い事などを書き、参拝の証明として奉納する紙)を納めるのだそうですが、そもそも私は「納め札」という存在を知りませんでした(御朱印を頂くのみ)。
周囲には、タヌキの像がいっぱい!
巡礼をやり遂げた人は「他を抜き去る」=他抜き(タヌキ)ということで、タヌキの像が奉納されたのだとか。
どのタヌキも愛嬌がありました。
苔の水地蔵尊と、精進落としの鯉
再び本堂に戻り、笈摺堂の東側へと行ってみると、とても不思議な仏像が。「苔の水地蔵尊」です。
自分の体の悪い個所と同じところにお札を貼ると、病気が快復するそうです。
そして本堂正面・向拝(こうはい 参拝者が礼拝する場所)の左右の柱には、
「精進落としの鯉」と称する、銅製の鯉が打ち付けられているのも面白いです。
この寺で満願した巡礼者はこの鯉に触れて、精進潔斎が必要な巡礼の日々に別れを告げ、食事や生活上の制限のない日常世界へと戻っていったのです。
皆が触ったせいか、鯉はつるつるピカピカしています。この鯉も仁王様同様、口を開けたものと閉じたものがありました。こちらは口を開けている、正面向かって右側の鯉です。
本堂から見た雨上がりの参道。
名残の紅葉が、初冬の日の光に照らされて、なかなか美しかったです。
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