仲之町通りから吉原神社へ
2025年1月5日からスタートしたNHK大河ドラマ『べらぼう』は、主人公の蔦屋重三郎を中心に、江戸中期の様々な人物が登場します。昨年6月8日(土)に東京に行く機会があったので、ドラマに登場する人物ゆかりの地とその周辺を巡ってみることにしました。
蔦屋重三郎の墓参りや、最初に「耕書堂」という書店を開いた吉原大門近くの五十間道、そして吉原遊郭の跡を散策した私たちは
次の目的地である吉原神社に向かいました。かつての吉原遊郭を守護していた、氏神です。
吉原大門(おおもん)跡からは、大門から伸びるメインストリートの「仲之町(なかのちょう)通り」を歩いて約5分ほど。
この大きな道沿いには、見るからに「風俗店!」という店もなかったように思うし、昼間だったから、私たちでも特に声を掛けられることもなく、普通に歩けました。
到着した吉原神社。別名は九郎助(くろすけ)稲荷神社というそうです。そう、大河ドラマ『べらぼう』で、綾瀬はるかさんが演じている、ナレーター兼解説担当の神様でした。神社の掲示板には色々な絵や文書があって、当時の様子がよくわかります。
羅生門河岸にあった九郎助稲荷
元々吉原遊郭には、稲荷神社が5社もありました。
浅草田圃(あさくさたんぼ)を埋め立てた人工の歓楽街・吉原の四隅には榎本稲荷、明石稲荷、松田(開運)稲荷、九郎助稲荷があり、吉原大門外の高札場には吉徳(よしとく)稲荷もありました。
この中で一番人気があったのが、九郎助稲荷。芸者たちが即興で寸劇を演じながら練り歩く「俄(にわか)」と呼ばれる吉原の人気行事も、九郎助稲荷の祭礼として始まったという説もあるそう。
その稲荷社は、最下級の遊女たちが住む「羅生門河岸(らしょうもんがし)」にあったのです。
『べらぼう』にも描かれる、年齢や病気、愛想のなさなどで最底辺に追いやられる遊女たちが暮らす「河岸見せ(かしみせ)」は安さと客引きの強引さで勝負。平安京の羅生門に、人間の腕を掴んだら絶対に離さない鬼がいたというエピソードから名付けられました。
「吉原」というと華やかなイメージが一般的ですが、吉原は厳しい格差社会だったのですね。
明治になって、元々あった吉原の氏神様・吉原神社と5社の稲荷神社が合祀され、現在の吉原神社(別名・九郎助稲荷神社)になったのです。拝殿には、各稲荷社の提灯が掲げられているし
ご利益も少しずつ違うみたいですが、これだけ多くの神が祀られているのですから、一度参拝しただけで、たくさんご利益があるかも。
現代の「吉原細見」を購入!
社務所では御朱印(500円)の他、
「吉原細見」という充実したパンフレットも入手できました(500円)。
「吉原細見」と言えば、『べらぼう』でおなじみの吉原ガイドブック。蔦屋重三郎が編集長(細見改め)を務めたり、後に独自のスタイルで出版したことで知られています。江戸時代の「吉原細見」は、妓楼ごとの遊女のリスト、格付けや値段などが書かれていましたが、現代の「吉原細見」は、吉原の歴史や文化を解説した、とても読みやすく写真もきれいなガイドブックでした。購入してよかったです。
コメントを残す