補陀落浄土の東門・金剛福寺
2024年12月28日(土)、初めて足摺岬を訪れた私たち。万次郎足湯や白山洞門、足摺岬灯台から足摺岬展望台、ジョン万次郎銅像などの見どころを見学した後
万次郎像の近くにある、四国八十八か所霊場の第三十八番札所・金剛福寺を訪れました。
別名は蹉跎山(さだざん)、補陀洛院(ふだらくいん)。「蹉」も「跎」もともに「つまづく」の意味で、この地が難所であったことを示しているのだとか。

俗に「足摺山」とも言うそうです。仁王門には、弘法大師と親交深かった嵯峨天皇直筆と伝わる「補陀落東門(ふたらくとうもん)」の額。

この勅額(ちょくがく=天皇直筆の額)を受けた弘法大師空海が、この地で三面千手観世音菩薩像を刻み、堂宇を建てたのが、この寺院の始まりでした。
補陀落とは観音菩薩が住む浄土のことで、南インド海浜の山の東にあると言われています。太平洋を望むこの寺院は、補陀落に最も近い場所と考えられたのでしょう。この地では、海の彼方にある補陀落浄土を目指して、1人で小舟を漕ぎ出す「補陀落渡海」が盛んでした。
弘法大師と亀
境内に入ると、大きな亀の石像がありました。

これは「足摺七不思議」で紹介されていた、「亀呼場」から弘法大師を乗せて不動岩まで運んだ亀ですね。
本堂(中央)と大師堂(左)が、池に美しい姿を映しています。


弘法大師像もありました。
美しい土佐五色石
この寺院で一番印象的だったのが、

境内の内外にある、美しい岩の数々。

調べてみると、「土佐五色石(ごしきいし)」という、高知県の仁淀川流域で採掘される石で

緑、赤、白、黒、灰色の五色があり、インテリアや庭石として、今も人気がある石です。

緑は凝灰岩、赤は変色した玄武岩、白は濁った石英やチャート、黒は黒色頁岩(けつがん)、灰色は砂岩だそうです。

最初私たちは、この石を輸入品だと思っていたのですが、国産品だったのですね。

岩石が好きな私たちは、大喜び。なかなか珍しい眺めの寺院でした。
篤い信仰心 多宝塔と花
金剛福寺は歴代の天皇だけでなく、清和源氏からも篤い信仰を寄せられていました。

この多宝塔は、兵庫県川西市に本拠地を定めた清和源氏の祖・源満仲が寄進したもの。兵庫県から遠く離れた足摺岬にある寺院に、これだけの立派な建物を寄進したのは、信仰心が篤かった証拠でしょう。

現代の人々も、金剛福寺に篤い信仰を寄せています。境内の石仏の前に

美しい花が供えられていました。

こちらの石仏にも。毎日どなたかが、花を供えられているのでしょうか。篤い信仰心が、今も息づいているのを感じました。
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