小泉八雲が紹介した怪談の舞台1  『飴を買う女』と大雄寺

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再び松江へ 小泉八雲の怪談で紹介された場所を巡る

2025年5月4日(日)、出雲大社の参拝を終えて、一畑(いちばた)電車で出雲大社前駅から、松江しんじ湖温泉駅へと戻ってきました。

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2025年6月19日

松江しんじ湖温泉駅の場所を地図で見ていて気が付いたのですが、この駅は、JR松江駅よりも、松江城やその周辺の観光地に近いのです。せっかくだから、この近くで小泉八雲ゆかりの場所はないかとパンフレット等で探してみると

大雄寺(だいおうじ)というお寺を見つけました。

『飴を買う女』の舞台

ここは小泉八雲(松江時代はまだ日本に帰化していなかったので、正確にはラフカディオ・ハーン)が、来日後最初に発表して評判になった『知られざる日本の面影』の上巻『神々の国の首都』で紹介した怪談『飴を買う女』の舞台です。

グーグルマップのお告げの通りに行ってみたら、いきなり墓地にたどり着いてしまいました。怪談の舞台なので、墓地に行くのは別にいいのですが、どこで道を間違えたんだろう。

こちらは本堂。法華宗のお寺のようです。

正式な入口はこちら。石垣と白壁の山門です。とても立派ですね。

ところで『飴を買う女』というのは、こんな話です。

大雄寺の近くにある中原町の小さな飴屋に、毎晩、白い着物を着た青白い顔の女が、1厘で水飴(麦芽から作った飴で、乳の出ない場合、子に与える)を買いに来ました。飴屋がいろいろ女に尋ねますが、彼女は何も答えず、飴屋はとうとう彼女の後をつけ、墓場に入るのを見て、怖くなって引き返します。次の夜も女はまた飴屋に来たけれど、飴は買わず、自分と一緒に来てくれと飴屋に頼みます。飴屋が友人と一緒に女の後についていくと、墓場のとある石塔の側でぱっと女の姿は消え、赤子の声が聞こえます。石塔を掘り起こすと、毎夜飴を買いに来ていた女の死骸があり、生きている赤子がいました。赤子の側には、水飴を入れた小さな茶碗が置いてありました。この母親は本当に冷たくならないうちに葬られたので、墓の中で赤子が生まれ、母親の幽霊が水飴で子供を養っていたのです。

ハーンは作品の最後を「母の愛は、死よりも強いのである。」と結んでいます。ハーンが4歳の時、ギリシア人の母は父の実家や実家のあるアイルランドの風土・宗教に馴染めず、里帰り出産をする名目で実家のあるギリシアに帰り、二度と戻ってきませんでした。7歳で父も別の女性と結婚してアイルランドを離れ、間もなく死去。大叔母に育てられたハーンは両親の愛を知らず、特に母親の愛には特別な想いがあったようです。

似た話は日本全国に分布し、京都東山の「六道の辻」には、「子育幽霊飴」を売る「みなとや」さんが人気だし

あの『ゲゲゲの鬼太郎』の主人公・鬼太郎が墓場で生まれたという設定なども、この話から来ているようです。調べてみると、面白いですね。

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