松江で八雲が一番気に入った場所
2025年5月4日(日)、出雲大社の参拝を終えて、一畑(いちばた)電車で出雲大社前駅から、松江しんじ湖温泉駅へと戻り、前日には訪れることができなかった、小泉八雲ゆかりの場所へ行くことにしました。
まず、怪談『飴を買う女』の舞台となった大雄寺(だいおうじ)を訪れた後、
松江藩主の菩提所になっている月照寺へ。実はこの寺院、小泉八雲(日本に帰化する前は、ラフカディオ・ハーン)の大好きな場所でした。この寺を愛したハーンは、夫人のセツに、死んだらここに埋めてほしいと願っていたのだとか。その願いは残念ながら叶えられず(東京で亡くなったため)、雑司ヶ谷霊園に葬られましたが、もし一生松江暮らしだったら、ここに葬られたかな。

そんな月照寺がどんな場所か、一度行ってみたかったのです。

時刻はそろそろ、15:30になろうとしています。何とか拝観受付時間には、間に合いました。でもお抹茶と和菓子を頂く時間はなさそう。残念です。

出雲の日本酒もいいのですが、大名茶人・松平不昧(ふまい)公のお膝元・松江で、この井戸の名水で点てたお抹茶を飲んでみたかったです。

こちらは唐門。17世紀中期の建築だそうです。
書院で見た、懐かしい人のサイン色紙
書院で拝観受付です。松江城など3館共通拝観券を購入していたので、700円の拝観料を600円に割引してもらえました。

書院の内部です。

1984年に改築されたので、なかなかきれい。

左側をよく見ると、一段高くなっている藩主の座・上段の間がありました。

お庭もきれいですね。

ふと目に留まったのが、このサイン色紙。『ばけばけ』でハーンをモデルにした「ヘブン」役を演じるトミー・バストウさんのサイン色紙です。

そして感動したのが、このサイン色紙。ハーンとセツを主人公にした1984年のNHKドラマ『日本の面影』(好きなドラマでした)で、セツを演じた檀ふみさんのサイン。しかも新しい! 昨年の12月に来られたのですね。
本堂と茶室
続いて本堂へ。江戸時代の本堂は明治維新で取り壊されてしまい、今の本堂は、1954年に建てられたもの。

ご本尊の阿弥陀如来と、松平氏の家紋である葵の御紋。

そして堂内を飾る十六羅漢像が美しい!

新しいのかと思ったら、江戸時代の画家・狩野英雲の作だそう。

大切に保存されていたのですね。

その後、本堂の奥にある四畳半の茶室・大圓庵(だいえんあん)へ。大圓庵というのは、松平不昧公の庵号なのだとか。

窓から見える灯籠と手水鉢が、実はなかなか値打ちもの。

この織部灯籠(おりべどうろう)と棗形手水鉢(なつめがたちょうずばち)は、千利休から秀吉重臣の福島正則へ、そして福島家の勇猛な家臣・大橋茂衛門に伝わり、福島家断絶後、彼は松江藩に召し抱えられ筆頭家老になりました。大橋家に伝わるこの2点を、松平不昧公が懇望して江戸の松江藩上屋敷に移しましたが、終戦後に屋敷が廃され、この2点は再び大橋家に戻されました。

本堂再建時にこの茶室が建立された際、大橋家から寄進されたとのこと。千利休から連綿と受け継がれてきたものが、ここにあって、お殿様ではない私たちも、普通に見ることができる。ありがたいことだなと思いました。
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