フエで最も古い寺院の1つ、ティエンムー寺院へ
2025年8月24日(日)、私たちは3日間滞在したダナンから、車で2時間半ほどの距離にある古都フエに移動し、サイゴンモリンホテルに到着。
ホテルで一休みした後、雨も止んだみたいなので、夕食前に1か所だけ観光に出かけることにしました。行先は、夫がぜひとも行きたいティエンムー寺院です。ホテルからGrabタクシーで10分少しでした(料金72,800ドン=424円)。
自動車は寺院の正面では乗降できず、少し離れた場所で降ろされて、そこから境内へ(拝観料は無料)。お寺はフォーン川のすぐそばでした。

1601年に建立された、フエで最も古い寺院の一つというティエンムー(天姥)寺院。ある日1人の老婆(姥)が丘の上に現れ、「いつか君主がここに仏塔を建て、国の繁栄を祈るだろう」と予言して姿を消しました。それを聞いた広南国王グエン・ホアンはその場所に寺を建て、天姥(=天女)寺と名付けたのだとか。天女って若い美女ばかりと思っていましたが、老婆もいたんですね。
慈仁塔と大雄堂
大きな2本の石柱の前から続く、高く急な石段を上がると

七層八角形でレンガ造りの慈仁塔(トゥニャン塔)が見えてきました。この塔は21mあり、仏教で悟りを意味する蓮の花をかたどっているそうです。

完成したのは1845年でそんなに古くはないのですが、フエのシンボル的存在。

中国風の三門。中央の門は神や皇帝のもので、一般人は左右の門から入っていたそうです。日本の寺社にも似たようなタブーがありますね。

後ろを振り返ると、三門と塔が重なって、なかなかいい感じでした。

門をくぐると本堂(大雄殿)です。靴を脱いで中に入ると、堂内には漢字がいっぱい! なんとなく意味が解るのがうれしい。

ピカピカの布袋様。

奥ではたくさんの僧侶が読経しており

子どもたちも何人かいます。皆、少し頭髪を剃って、灰色の衣(僧衣?)を着ているので、これから仏門に入るという子供たちとその家族かな?
夫がどうしても見たかった青い車
この寺院で夫が見たかったのは、由緒ある寺の建物ではなく、この1台の青い車でした。

寺院には不似合いな展示ですが、この車がこの寺院一番のみどころらしいのです。私は全く知らなかったのですが、まだベトナムが南北に分かれていた1963年、南ベトナムはカトリック教徒(旧宗主国のフランスがカトリック)が政権内に多く、仏教徒弾圧も行われていました。

それに抗議して、1963年6月、僧侶ティック・クアン・ドックがこの車(オースティンA95)に乗って首都のサイゴン(現ホーチミン市)へ行き、民衆の前で抗議の焼身自殺。

絶命するまで結跏趺坐し、微動だにしなかったそうです(写真)。広く報道されて、世間に衝撃を与えた彼の

心臓はそのままの姿で残り、強靭な意思の象徴とされたとか。

この事件を揶揄する大統領顧問(大統領の弟)夫人の暴言もあって、軍事クーデターが勃発。大統領と弟は殺害され、夫人も国外追放。南ベトナムはますます弱体化していったそう。歴史が大きく変わるきっかけになったんですね。

初めて知った事件の衝撃は大きくて、高僧の記念塔や庭園の池などを見て気分転換。

フエ最古の寺院は、20世紀のベトナムの歴史とも深く結びついていたのでした。
コメントを残す