當麻曼荼羅(たいままんだら)とは? 素材の謎に迫る!

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前回は、奈良県葛城(かつらぎ)市・當麻寺(たいまでら)に伝わる中将姫伝説を紹介しました。

この中将姫が織り上げたという當麻曼荼羅について、今回は紹介します。

 當麻曼荼羅ができるまで

當麻寺で出家した中将姫は、「中将法如」と名乗ります。

彼女は「この世に本当の仏がいるならば、眼前に現れて下さい。生き身の仏を見なければ、この座を立ちません。」と26歳で願掛けをし、念仏三昧に入りました。

やがて満願の日の暁に、1人の老尼が現れます。

自分は長谷寺(奈良県桜井市)観音の化身であること。

もし生き身の仏を拝みたければ、自分の言うとおりにすること。

そう老尼は言いました。

 

当麻寺 中ノ坊

老尼はまず、100駄(100匹の馬の背に乗せて運ぶ量)の蓮の茎を集め、その蓮の糸の筋を取って曼荼羅を織るように指示しました。

姫は時の天皇に願い、大和・河内・近江から蓮の茎を集めました。

そして老尼(観音の化身)に助けられながら糸を取り、井戸に漬けて五色に染め、當麻寺本堂の一隅で、老尼と共に縦横1丈5尺(4.5m)の曼荼羅を一夜のうちに織り上げます。

当麻寺 本堂

その曼荼羅には、極楽浄土の様子や、極楽に行くための方法などが描かれました。

織り上げた曼荼羅を本堂に架け、懸命に祈っているうち、生き身の阿弥陀如来と25菩薩が現れて、姫は生きながらに極楽浄土へ旅立ちました(この時29歳)。

蓮の糸で曼荼羅は織れるのか

私がこの伝説で一番気になったのが、蓮の糸でした。

蓮から糸は作れるのでしょうか。

結論から言うと、作れます

ウィキペディアによると、茎の表皮を細かく裂いて作る糸を「茄絲(かし)」、茎の内部から引き出した繊維で作る糸を「藕絲(ぐうし)」と呼び、どちらも布が織れるそうです。

でも「日本蓮学会」のサイトによると、40㎏の蓮の茎から僅か2gしか取れないとか。

100駄の蓮の茎が仮に100㎏とするならば(あくまでも個人の想像です)、僅か5gしか中将姫は蓮の糸を取ることが出来なかったのです。

1tの蓮の茎を集めても50g、100t集めてやっと5㎏の糸が取れる計算です。

いくら時の天皇のお許しがあっても、実家(姫の父は右大臣と伝わります)の財力を持ってしても、かなり難しいのではないでしょうか。

観音様の助けがないと、絶対無理!

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ちなみに當麻寺には、中将姫が織ったと伝わる曼荼羅の原本が、損傷が激しいながらも残っています(国宝)。

2013年(平成25年)の調査では、先染めした絹糸製の織物で、その技術の高さから中国のものではないかとされているようです。

海外からもたらされた素晴らしい曼荼羅に、いつの間にか中将姫の伝説が加わったのでしょうか。

『白鳥の王子』とイラクサ

『白鳥の王子』というアンデルセン童話があります。

有名な話らしいのですが、ご存じない方のために紹介します。

北欧のある国で、優しい王妃が11人の王子と王女エリサを残して亡くなりました。

やがて国王は、新しい王妃を迎えることになりました。

でもこの奥様、実は魔女だったのです。

魔女は11人の王子に呪いをかけ、白鳥に姿を変えて城から追い出してしまいます。

王女エリサも城を追われますが、白鳥になった王子達を見つけることができました。

やがて仙女のお告げがあり、エリサは兄達の呪いを解くために、イラクサでチョッキ(シャツという訳もある)を11人分編むのです。

イラクサには茎に細かいとげがあり、触れると非常に痛いというのは、童話にも書かれていました。

おまけにとげにはヒスタミンという毒が含まれているため、痛くて痒くていつまでもチクチクし、「じんましん」の語源にもなったとか。

そのイラクサを摘んで足で踏み、糸を取ってチョッキを編まなければなりません。

エリサの波瀾万丈ストーリー以上に、「イラクサでチョッキを編むのはとても大変」ということが、子供心にもはっきり記憶に残りました。

當麻寺の中将姫伝説を知ったとき、まず思い浮かんだのが、同じように「変わった素材」で「すごい手芸品」を作ったお姫様がいたということだったのです。

姫様の試練 大変なのはどっち?

中将姫もエリサも、継母にいじめられ、かつ大変な試練を「聖なるもの」から命じられ、それを見事にやり遂げた素晴らしいお姫様です。

平凡な私には、どちらも真似できませんが、一体どちらが大変なのでしょうか。

私なりの基準で考えてみました。

蓮は極楽浄土を連想させる植物だし、手間さえかければ(お金も?)まだ何とかなりそうな気もするし、それに第一、痛くない。

それに対してイラクサは、雑草なので集めるのは楽そうですが、余りイメージが良くないし(童話によると、墓場にも生えています)、何より痛く痒くなるのは困ります

私なら、イラクサのチョッキは勘弁してほしいなと思いました。

このライバル対決は、観音様の助けもなく、傷だらけで頑張ったエリサ姫の方が大変な試練だった、ということにしておきましょう。

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