最近、北朝鮮の動きから目が離せません。
日本からは近くて遠い北朝鮮。
核実験、弾道ミサイル発射、独裁政権による「血の粛清」や「情報統制」、そして日本人の拉致被害者問題など、多くのニュース(ほとんど悪いニュースですが)で登場する国です。
現在外務省は、北朝鮮への渡航自粛を呼びかけています。
それなのに、面白い話題をネットで見つけました。
北朝鮮で日本人観光客が増えている
北朝鮮は数年前から外貨獲得の一環として、日本人観光客の集客に力を入れています。
中国を経由して、比較的簡単に北朝鮮を観光できるツアーもあるとか。
そして日本人の中にも、北朝鮮に興味を持っている人はたくさんいます。
特に金正男氏暗殺事件後、北朝鮮ツアーに関する問い合わせが増えているようです。
10年以上前には、予想もできなかった状態だなと思いました。
北朝鮮と非武装地帯を見に行きたい
2000年(平成12年)に日本で公開された『シュリ』という韓国映画があります。
韓国に潜入した北朝鮮工作員と、韓国諜報部員との悲恋を描き、アクションシーンも素晴らしいと話題になりました。
その翌年には、『JSA』という韓国映画が日本で公開されました。
JSAとはJoint Security Area=共同警備区域。
韓国と北朝鮮との軍事境界線上にある800m四方の地域を指し、韓国軍を筆頭とした国連軍と北朝鮮軍の兵士が共同で警備にあたり、その兵士達の友情などが映画で描かれていたようです。
2つとも血が大量に流れそうな予感がする、私の苦手なジャンルの作品でした。
そのため両方とも見ていないのですが、家族がこの映画にすっかり心を奪われ、ついに北朝鮮や非武装地帯を見に行きたい!と言い出しました。
今から13年前の、2004年(平成16年)。
小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問し、拉致被害者5名が帰国したその2年後です。
でもいくら北朝鮮に興味があっても、当時は北朝鮮観光ツアーなど想像もできず、韓国で非武装地帯を観光するツアーに参加し、遠くから北朝鮮を眺めるのがよくあるパターン。
ということで、2004年3月末に、初めて韓国に行きました。
『冬のソナタ』はまだ放映されていません。
烏頭山統一展望台
今回の旅の拠点は、韓国の首都・ソウルです。
国境非武装地帯という緊張する場所を訪問するため、現地ガイドが同行するバスツアーを利用しました。
最初に訪れたのが、北朝鮮が見えるという烏頭山統一展望台です。
ソウルから僅か1時間ほどで到着し、北朝鮮はとても近いのだと実感しました。
ここは事前の許可なしに誰でも立ち入ることができ、写真撮影も自由でした。
ソウルから流れてきた漢江(ハンガン)とイムジン河が合流する古代の城跡に建てられた展望台からは、河を挟んだ場所にある北朝鮮の農村を見ることができるのです。
でもこの日はあいにくの天気で、望遠鏡でもかすかに向こう岸が見えるくらい。
建物らしき物がうっすら見えましたが、人の姿を見つけることはできませんでした。
よく見えたのが、展望台の敷地内にある「望拝壇」。
北朝鮮側に故郷のある人々が、故郷の墓に眠る先祖の祭りを行うための施設です。
儒教の国らしいなと思いました。
展望台の建物内部には、北朝鮮の小学校教室や民家を再現した部屋もあります。
ちゃんと金日成父子の写真が、壁に掲げられていました。
私達が訪れたときは、韓国人らしい観光客が先生や生徒になって楽しんでいました。
日本語や英語での説明ビデオもあり、韓国側の立場を広くPRしているなと感じられます。
2002年(平成14年)11月27日(拉致被害者5名帰国の翌月)、修学旅行でここを訪れた宮崎県立日向工業高校が寄贈した色紙もありました。
色紙描かれている花は、平和統一を象徴する韓国の国花・無窮花(むくげ)です。
「安保・平和・交流」と大きく書いた、金大中氏の色紙も展示されていました。
日付を見ると、1997年(平成9年)12月18日。
彼が韓国大統領に就任し、北朝鮮との外交的緊張を緩和する(いわゆる「太陽政策」)を行うのは、この翌年になります。
板門店(はんもんてん)への道
展望台見学を終えると、バスは板門店へ向かいます。
北朝鮮との境を流れるイムジン河沿いには、韓国の監視小屋が点在していました。
イムジン河沿いは民間人の立ち入りは禁止され、北朝鮮工作員の侵入を警戒して、河沿いには鉄条網が張られていました。
かなり異様な光景でした。
バスが走っている広い道路の中央部分は未舗装で、まだ使用されていません。
南北統一後に舗装されると聞きましたが、その日はいつになるのでしょうか。
板門店の様子は、こちらのブログをご覧ください。
また、翌日の非武装中立地帯へのツアーの様子は、こちらをご覧ください。
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