南北分断の朝鮮半島 非武装地帯と民間人統制区域で見てきたこと

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南北朝鮮文壇の現場をこの目で見たいと、烏頭山(オドゥサン)統一展望台や板門店、非武装中立地帯(DMZ)を訪れました。

南北分断の朝鮮半島・非武装中立地帯(DMZ)へ行く

2017年4月29日

緊張の朝鮮半島 北緯38度線と板門店(はんもんてん)

2017年4月29日

北朝鮮が見える? 烏頭山(オドゥサン)統一展望台

2017年4月28日

南侵第3トンネル内部を見学した後訪れたのは、都羅(トラ)展望台

第3トンネルが発見されたのと同じ京畿道(キョンギド)・坡州(パジュ)市にあります。

展望台からきれいな写真が撮れない理由

板門店には韓国人は立ち入ることができませんが、ここは許可されているため、多くの韓国人団体旅行客でにぎわっていました。

 

さて肝心の展望ですが、今日も昨日同様、展望台からの眺めはよくありません。

おまけにここでは、展望台建物内からの撮影は禁止されているのです。

建物の外の地面には黄色い線が引かれ、それより外で写真撮影することもできません

見晴らしがいいので(天気が良ければ)きれいな写真が撮れそうですが、塀から2m以上離れた場所からしか、撮影は許可されませんでした。

一体どうしてなのか、その理由は未だによくわかりません。

地雷原は自然の宝庫

展望台近くの樹木には、鳥の巣が多いことに気が付きました。

昨日もガイドさんから聞きましたが、非武装地帯は一面に地雷が埋められているため、半世紀以上にもわたって、人間が立ち入ることはできませんでした。

すると皮肉なことに、非武装地帯は自然環境が豊かな、渡り鳥の楽園となっているのです。

人間にとっては恐ろしい土地が、野生の楽園となるなんて。

「国破れて山河在り」という唐の詩人・杜甫(とほ)の名作が、ふと頭をよぎりました。

国家同士の争いはまだ終わっていないのに、自然の方はもうすっかり回復して、人間よりも数段上なのだと感じました。

大陸横断鉄道だった京義(キョンイ)線

続いて訪れたのは、京畿道・坡州市の韓国鉄道公社・京義線の都羅山(トラサン)駅

1902年(明治35年)、日本によって建設が開始された鉄道が、京義線の起源です。

韓国は独立国でしたが、日本とロシアが韓国を巡って争っており、この年日本は、ロシアと対立していたイギリスと同盟を結びました。

いわゆる「日英同盟」です。

日露戦争になれば、大陸での物資補給が必要になると考えた日本は、京城(現ソウル)と中国との国境・新義州を、突貫工事で結びました。

そして京城の「京」と新義州の「義」を取って、京義線と名づけられました。

やがては南満州鉄道やシベリア鉄道と結ばれ、大陸横断鉄道の起点ともなった鉄道です。

しかし1945年(昭和20年)、第二次世界大戦で日本が敗北すると、朝鮮半島はアメリカとソ連によって南北分割占領され、京義線も北緯38度線を境にして分断。

朝鮮戦争が始まると、軍事境界線を越えて列車が運行するのは不可能になりました。

特に韓国側の場合、ソウル以外に沿線に大都市もなく、46kmという短さのため、いつしか幹線ではなくローカル線扱いに。

一方北朝鮮側では、引き続き幹線として活躍したようです。

その京義線が注目されたのが、2000年(平成12年)。

この年行われた南北首脳会談後、南北分断路線となった京義線の再連結が合意され、2002年(平成14年)から連結工事が行われたのです。

 いつか列車が走る駅

さてこの都羅山駅ですが、民間人統制区域内にあるため、気軽に訪れることはできません。

この駅は最近建てられた、とても新しく近代的な駅なのですが、観光客の他には乗客がいないので、奇妙な感じがしました。

2002年、韓国の金大中大統領とアメリカジョージ・ブッシュ大統領がこの場所を訪問しました。

その時の大統領2人のサインも見ることができました。

いつかここから再び、ユーラシア大陸を横断する列車が出発するのでしょうか。

その時はぜひ乗ってみたいなと思いました。

 「自由の村」に住んでみたい?

バスツアーで絶対訪れる場所として、「土産物屋」があります。

私達もツアーの最後に、土産物屋に連れていかれました。

でも普通の土産物屋ではなく、民間人統制区域にある唯一の村「自由の村」の土産物屋です。

ここに住んでいるのは、朝鮮半島の休戦当時の住民の直系の子孫のみで、多くが農業を営んでいるそうです。

この村の住人の最大の特徴は、徴兵と納税の義務が免除されるということ。

そのため所得は、韓国の平均的な農家よりも高いとか。

しかしこんな制約もあるのです。

  • 年間8カ月以上は村に居住しないといけない。
  • 毎日世帯ごとに人員チェックがあって夜間(0時~5時)は外出禁止
  • 農作業の場合は,2~3日前に活動時間を軍に申告(軍事境界線近くの場合は、農作業に軍が同行)。
  • 土地の所有権は認められない(売買は不可)。
  • 許可された人や指定された観光ツアー参加者しか村に入れない

もちろん、軍事衝突があれば真っ先に被害を受ける可能性が高く、現在も地雷のために被害を受ける住民もいるとか。

納税と徴兵義務がないのはものすごく魅力ですが、逆に言えばそれ以上の負担があるかもしれないということなのです。

東西ドイツが統一できたように、いつか南北朝鮮が統一され、「自由の村」が「普通の村」になることがあるのかな。

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