今日(2018年7月2日)は「半夏生(はんげしょう)」だそうです。
この言葉を、今年になって初めて知りました。
二十四節気と七十二候
半夏生というのは、暦の上での季節を表す言葉。
日本や中国の暦では、年月日を表す他に、季節を表す区分法も考案されました。
1年を、12の節気と12の中気に分類したのが「二十四節気」。
春分・夏至・秋分・冬至や、立春・立夏・立秋・立冬など、休日になったり手紙の挨拶に使われたりと、「二十四節気」は今でもよく知られていますね。
この「二十四節気」を、更に約5日づつ、3つに分けたのが「七十二候」で、気象の動きや動植物の変化を知らせる名前になっています。
「半夏生」は、この「七十二候」の1つでした。
半夏生とはどんな季節?
「半夏生」とは「半夏(はんげ)(カラスビシャク)という薬草が生える頃、という意味で、「半夏が生ず」から「はんげしょう」となりました。
また、ハンゲショウ(タカシログサ)の葉の一部が白くなることに由来するとも言われています。
今までは夏至を含めた11日目にあたる日を半夏生と定めていたのですが、現在では天球上の黄径100度の地点を、太陽が通り過ぎた日付と定められています。
農作業を休む時期
農家にとっては大事な節目の日で、この日までに「畑仕事を終える」「水稲の田植えを終える」目安となり、この日から5日間は休みとする地方もあるそうです。
これも今回知ったのですが、「半夏半作」という言葉があります。
天候不順で田植えが遅れていても、半夏生までに田植えが済めば平年の半分程度の収穫は望めるというもの。
逆の言い方をすれば、半夏生を過ぎて田植えをするようではその半作すらも望めない、と言うことです。
半夏生の日は天から毒気が降ると言われ、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされたりしました。
三重県の熊野地方や志摩地方の沿岸部などでは、ハンゲと呼ばれる妖怪が徘徊するという云い伝えもあり、この時期の農作業がかたく戒められたことがわかります。
またこの頃に降る雨は「半夏雨」(はんげあめ)と言い、大雨になることが多いとか。
関西でも先週、ゲリラ豪雨がありましたね。外に出るとろくなことがないのかも。
要するに、この日までに田植えを終わらせ、重労働で疲れている人々を休息させ、無事に田植えが出来たことを神々に感謝する期間として、半夏生のしきたりは、各地で大切にされていたのでしょう。
半夏生の食事で疲労回復!
関西地方では、「半夏生の日にタコを食べる」という習慣があるのだとか(初耳)。
植えた稲の根がタコの脚のように大きく広がり、稲穂がタコの吸盤のように丸々と立派に実るようにという願いを込めて、タコを食べるらしいです。
タコには、ビタミンB3と呼ばれるナイアシンやビタミンB2、ビタミンEなどといったビタミン類や、鉄分や亜鉛などのミネラル類が豊富に含まれています。
また、特に優れている成分が、「タウリン」です。
「タウリン1,000mg配合!」のCMで有名な、あのタウリン。
これはイカにも含まれており、血液中のコレステロールを降下させ肝機能・心臓機能を強化し、疲労回復や視力回復などといった効果が得られます。
タウリンが含まれるタコを食べてゆっくり田植えの疲れを取ろうという、昔の人の知恵でしょうか。
讃岐地方では田植えなどの労をねぎらうためにうどんをうち、ふるまう習わしがあるようです。
奈良盆地では「半夏生餅」をつき、田の神様に供えて豊作を祈り、田植えの無事に感謝しながら食べるのだとか。
福井県の大野市では、田植えで疲れた農民の栄養補給のために、魚屋が半夏生の日に丸焼きにしたサバを売り出したのだそうです。
この時期は蒸し暑くてただでさえ体調を崩しやすいから、このような食べ物を食べるとよいのかもしれません。
今回の気づき
私のおぼろげな記憶では、関西でも都市部では、以前は半夏生の習慣は、あまり知られていなかったように思います。
どうやら5~6年前から、「日本の伝統」や「旧暦」を見直す動きが盛んになり、二十四節気や七十二候を取り上げた本も、よく売れているそうです。
エコライフやスローライフが注目される時代の流れとも、合致していたのかも知れません。
そのため「半夏生」という言葉や食べ物などのしきたりも、以前より認知度が高まってきたのでしょう。
タコの本場、明石を擁する兵庫県など近畿地方一円の小売店では、「半夏生にタコを食べよう!」と盛んに宣伝販売を行っているのだとか。
バレンタインチョコや節分の恵方巻き同様、関西発のイベント食材になるのでしょうか。
今後の展開に注目です。
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