大河ドラマで学び直せる日本史 パークスとロッシュ(『西郷どん』第33話)

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『西郷どん』第33話は、鹿児島の西郷家を舞台に、西郷どんと糸さんの夫婦の物語(やっと妊娠できるまで)の話なのですが、龍馬夫婦(特におりょうさん)のデリカシーの欠如ぶり、そしてイギリス公使パークスとの会見に、かなり驚いてしまいました。

そのパークスと、パークスのライバルであるフランス公使のロッシュについて、今回ご紹介します。

日本に赴任するまでのパークスとロッシュ

ハリー=パークスは、1828年イギリスで誕生しました。

両親を早くに亡くし、保護者となった叔父にも死なれたパークスは、13歳の時、中国で暮らしていた姉たちを頼ってマカオへ渡り、中国語の勉強をしながらイギリス外交官のもとで働き始めます。

15歳で広東領事館に採用され、翌年からアモイの領事館通訳に。この頃から、領事のラザフォード=オールコックのもとで仕事をします。

26歳でアモイ領事となり、広東、上海領事を歴任。中国語も堪能でした。

一方のフランス公使レオン=ロッシュは、1809年に誕生。パークスよりは、19歳も年上でした。

アルジェリア遠征軍に参加したり(二重スパイ疑惑あり)、通訳官になったりして、アラビア語に堪能となり、アフリカ諸国で総領事を務めました。

仲が悪かった2人

日本に着任したのは、ロッシュの方が1年早く、1864年です。

アラビア語に堪能なロッシュでしたが日本語には疎く、最初は函館にいたフランス人宣教師のカションを通訳としていました。

そして四国艦隊下関砲撃事件では、前任者同様、イギリスとの協同路線をとっていました。

しかし1864年末、幕府から製鉄所と造船所の建設斡旋の依頼を受け、これをきっかけに、ロッシュは幕府寄りの立場をとるようになります。

一方パークスの着任は1865年で、前任者のオールコックが四国艦隊下関砲撃事件を主導的な役割を果たしたことが、イギリス本国から「日本との全面戦争につながりかねない」として解任された後でした。

イギリス公使館ミットフォード書記官の証言によると、パークスとロッシュはとても仲が悪かったとか。

まぁジャンヌ=ダルクの昔から、英仏は何かにつけてライバル意識・対抗意識があるのは当然なのですが、どうもそれだけではなかったようです。

パークスは、とても癇癪もちで、交渉相手からも部下からも問題視されていました。

19歳も年下の、37歳の若造に対抗する気持ちもあり、ロッシュは積極的にフランスの立場を有利にしようと、幕府を積極的に支援していくことになるのです。

情報源は多いほうがいい

書記官のミットフォードだけでなく、イギリス公使館通訳のアーネスト=サトウにとってもパークスは、厄介な上司だったようです。

しかしパークスは、外交官としては有能でした。

「長州ファイブ」の一員としてイギリス留学中、四国艦隊下関砲撃事件を知って急遽帰国した伊藤博文や井上薫と文通をはじめたアーネスト=サトウの助言を入れ、表面上は中立を保ちながらも、幕府だけでなく長州や薩摩、土佐も訪問し、幕府以外からの情報収集に努めました。

またパークスは、公使館員に対し公使館の実務を午前中で終え、午後は日本を研究するように推奨していたようです。

一方ロッシュの場合、カションが帰国した1866年からはフランス公使館通訳がいなくなり、幕臣が通訳を務めています。

これは多数の通訳官を有していた英国公使館とは対照的で、結果、反幕府勢力に関する情報収集能力に欠けることとなりました。

幕臣は、幕府にとって都合の悪いことは通訳しないでしょう。

最近読んだ本でも、「1つの情報だけを鵜呑みにするのではなく、別の立場・意見の本も読もう」と書かれていたのですが、まさにその典型的な例だと思いました。

パークスおもてなし大作戦

ドラマでは、パーティのナマコが話題になったり、パークスが突如パーティ中に怒りだしたり(いつもの癇癪?)、西郷どんが勝手に単身イギリス軍艦に乗り込んだり(できるの?)と、大変な接待として描かれています(結果として、西郷家は大量のナマコをゲット!)。

1866年6月17日、島津久光父子は仙厳園で、撮影戦争の講和のため、パークス一行を接待しています。

1日目は和食、2日目は洋食で、薩摩側もイギリスの事情をよく研究し、ビールやシャンパンも出されました。別に龍馬の力を借りる必要も、なかったわけです。

特に豪勢な豚の丸焼きが、彼らの印象に残ったようでした。

ナマコは出たのでしょうか(出たかも)。外国人にはちょっとハードルが高いかもしれませんが、釧路で食べたナマコのお酢の物はおいしかったですよ。

摩周湖から公共交通機関を乗り継いで釧路へ

2018年9月3日

ナマコを初めて食べた人に感謝。

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