憧れの湖側の席だけど、あいにくの雨
2018年8月10日(金)、今回のシベリア旅行の目玉、バイカル湖岸鉄道に乗りました。
バイカル湖岸鉄道とは、アンガラ川の畔にあるポートバイカルと、バイカル湖の南端に位置するスリュジャンカを結ぶ鉄道です。
天気はあいにくの雨ですが、ファーストクラスで湖側という、眺めのいい席です。
雨だから、そんなに美しい景色ではありませんが、湖がすぐそばに見え、湖の底まで見えるのは驚きでした。
シベリア本線から盲腸路線へ 運命の変転
この列車は単線なので、列車すれ違いのため停車するほか、何度も途中下車して観光します。
もともとこの路線は、20世紀半ばまでシベリア鉄道本線の一部でしたが、アンガラ川のダム建設に伴い、イルクーツクとスリュジャンカを結ぶ新線が建設され、その必要性が失われました。
上が現在のシベリア鉄道本線。
ダム建設により、旧シベリア鉄道のイルクーツクからバイカル駅までの区間の大部分は水没する運命となり、1956年に廃止され、残されたスリュジャンカとバイカル駅の間は行き止まりの盲腸路線となりました。
運の悪いことに、1962年には崖崩れの被害で、複線の片方が使用不能となり、撤去されてしまいます。
ただ、トンネル以外ではほとんど窓からバイカル湖が眺められ、またシベリア鉄道本線として、当時最高レベルの石造りの鉄道橋やトンネルなどが建造されたため、これらを見学する観光列車として復活しました。
トンネルや橋が観光ポイント
こんなことは『地球の歩き方 シベリア』には書かれていなかったし、ロシア語のアナウンスはさっぱりわからなかったのですが、とにかく途中下車の見どころのほとんどが、橋とトンネルだったのにはびっくり!
駅ではないところでも、どんどん停車して途中下車。列車と地面との間はかなり高さがあり、簡単な梯子がかけられているだけという、ものすごくバリアフリーならぬ「バリアアリー」の乗り物でした。
旧式の客車の場合、トイレは垂れ流しです。そばを通るとかなり臭いがします。昔の日本もこうだったのかな。
さてこの湖岸鉄道は、平らな部分がほとんどなかった山の斜面を削って線路を敷く平面を作り、山の側面を擁壁で保護しています。ものすごい難工事だったことが想像されます。
最初の観光ポイントが、この立派な擁壁やトンネル。この区間には全部で38のトンネルがあるそうです。
トンネルの中まで案内されて、説明を聞きます。何を言っているのかさっぱりわかりませんが、歴史的・建築土木的に素晴らしい記念物なのでしょう。
ちなみに、バイカル湖岸鉄道のチケットと一緒に、英語で沿線の見どころやバイカル湖岸鉄道の歴史などを解説しているA4両面2枚のレポートが同封されていましたが、英語ばかりで意味がよくつかめません(涙)。
38のトンネルだけでなく、15の石造りの通路、3つのコンクリートの通路、248の橋、268の擁壁があるそうです。上の写真は、撤去された複線の片方が通っていた鉄道橋(左)と、今使用している橋。左の橋の方が、美しく感じられました。
ロシア国内において、これほど土木建築技術が駆使された路線は、他に例を見ないと言われているのだとか。
小さな村の駅で
私たちは食事なしプランのチケットを購入し、昼食は日本から持参したお菓子などを食べていました。
ほかの乗客は、大量に食べ物(中国人はカップ麺が多い!)を持ち込んでいるグループもいましたが、食事付きのプランを申し込んでいる人たちもいました。各車両に1つ、お湯のポットがサービスで置かれています。
ここはパラヴィニー岬のあたり。ポートバイカルから110km地点のようです。
その人たちが昼食をとるのでしょうか、小さな村のレストランは満員でした。
とても雰囲気のいい村の、かわいいレストランです。皆おいしそうに食べていて、ちょっとうらやましい。
私たちは食事する必要はないので、自由時間はひたすら散策。
線路内を歩いたり、機関車と記念撮影する観光客も。ちなみに、蒸気機関車は展示しているだけみたい。
鉄道が好きな人はもちろん、あまり好きでない人も楽しめます。
列車が停まる場所には露店ができていて、お土産はもちろん、ちょっとした軽食も調達できそう。
ホームが短いので、プラットフォームからはみ出した車両もあります。
草原の中にぽつんとたたずむ列車は、なかなかロマンチックなものでした。
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