平成最後の年に完成した城
2019(平成31)年3月29日(金)、平成に変わる新しい元号を、4月1日午前11時半頃に菅官房長官(当時 現在は首相)が記者会見で公表すると発表され、大きな注目を集めました。
実はこの日、兵庫県尼崎市では約140年ぶりに再建された尼崎城が完成し、一般公開が開始されたのです。
まさに「平成最後の城」でした。
工業都市のイメージが強い尼崎ですが、実はれっきとした城下町。
城下町の基礎を築いたのは、近江膳所から移った戸田氏鉄(うじかね)公でした。
彼は治水事業にも尽力し、大阪府佃と尼崎市との境界である「左門殿川(さもんどがわ)」を開削。「左門橋(さもんばし)」にもその名(通称「左門」)を残しています。
最盛期5万石だった「尼崎藩」(当初は外様、2代目からは譜代大名が藩主)の藩庁として、なかなか立派なお城だった尼崎城(別名琴浦城)。
完成直後、4月6日(日)に訪れたときの様子をご紹介します。
姫路城にも負けない白さ
松本城のような「黒い城」も日本にはありますが、やはり多くの人がイメージするのは、「白い城」。
完成直後の尼崎城も、白いです。
改修されて、白さに磨きがかかったという姫路城と同じくらい、白いのでは?
石垣も美しく積まれていますね。
城壁には狭間(ざま)と呼ばれる防御用の窓もあります。円形だから、鉄砲狭間かな?
平和な時代に再建されたので、堀はめちゃくちゃ浅いです!
家電量販店の旧ミドリ電化(現在エディオン傘下)の創業者である安保詮氏が、私財を投じて尼崎城天守を創建した上で尼崎市に寄付したいという申し出があったのが、再建のきっかけ。下の写真右下に「寄贈 安保詮」と刻まれていました。
その後市民からの寄付も集まり、現在の姿となったのです。
展望台にも仕掛けが! 楽しい博物館と変身施設も
入場料500円を払い、場内に入ると、まず訪れるのが最上階5階の「わがまち展望ゾーン」。
現在の景色と
現在の風景の案内板と(かなり詳しいです)
江戸時代の光景を見ることができます。僅か200年足らずなのに、ものすごい変貌!
4階は「ギャラリーゾーン」。
尼崎が生んだ城郭画家、荻原一青(おぎはらいっせい)の作品を常設展示しています。
尼崎城はもちろん
全国各地のお城を描いた作品が展示され、とても見応えがありました。
3階は「なりきり体験ゾーン」。
当時の尼崎城の「金の間」をイメージした大広間で、お姫様や忍者などに変身できます。子供たちが喜びそうですね!
見所いっぱいの尼崎城ゾーン
さて、個人的に一番見所があって面白かったのが、2階の「尼崎城ゾーン」。
尼崎在住の桂米團治さんが、尼崎ゆかりの近松門左衛門として語る「尼崎城VRシアター」や、鉄砲や日本刀など実際の武器の重さを体感できたりします。
日本刀も鉄砲もとても重くて、体を鍛えていないと、とても扱うことができません。
尼崎城や城下町に関する展示も、子供や歴史ファン以外の人にもわかりやすいよう工夫されていました。
これは8代将軍徳川吉宗の命令に応じて編纂された、尼崎で採れる魚の数々。
海の資源に恵まれていた土地だったことがよくわかりました。
展示物にはレプリカが多いけれど(だから気軽に手で触れられる)、この瓦は本物でした。
そして大人気だったのが、鉄砲や剣術の腕を競えるゲームコーナー的体験道場。
ちょっと機械の調子が悪そうだったけれど、私もやってみたかったな。
無料で楽しめるまちあるきゾーン
1階には尼崎特産品(限定品も!)を販売するショップなどもあり、無料で利用できました。
大迫力なのが、「尼崎空中さんぽ」。
床一面に映像が映し出され、その上を歩いたりできます。子供たちにも大人気!
これは江戸時代、尼崎最古の寺院・大覚寺(尼崎の「寺町地区」にあり)の住職が、登城する際に使ったという駕籠を修復したものです。
2019年11月からは、御城印も登場したとか。1階で頂けるそうです。また行ってみたいな。
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