「海のある奈良」小浜市へ!
2022年5月22日(日)、西国三十三か所第29番札所の松尾寺(まつのおでら)を訪れ、
その後登録有形文化財に指定されているJR小浜線の無人駅・松尾寺駅から、
小浜駅を目指しました。
11:13発の小浜行に乗車。これを逃すと、次は13:44まで列車がありません。
乗車時間は約40分。車窓からは美しい海岸も見えたのですが、先ほど、松尾寺から松尾寺駅まで45分ほど歩いたのでいつの間にか睡魔に襲われてしまいました。
私たちは以前バスツアーで三方五湖を訪れたことはあるものの、
公共交通機関を使って若狭地方を訪れるのは初めて。小浜市は「海のある奈良」と呼ばれ、古代よりヤマト政権の日本海側入り口として繁栄してきた港町。国宝や重要文化財も多く、「小京都」とも呼ばれています。
若狭神宮寺で見る神仏習合の姿
最初に訪れたのは、若狭神宮寺。奈良時代、若狭国の一宮である若狭彦神社の神に、神前での読経など仏教の祭祀を行うため創建された天台宗の寺院です。いわゆる「神仏習合」ですね。
小浜駅からはタクシーを利用しました(2,000円)。
表門を入り、拝観料1人500円を払います。
重要文化財に指定されている本堂。よく見ると、寺院なのにしめ縄がありますね。神仏習合の名残です。
浅井長政父子と共に織田信長と戦って敗死した、越前の戦国大名・朝倉義景が本堂を再建しました。
本堂の中に入ってみました。本尊の薬師如来や、男神と女神の木像などは暗くてよく見えませんでしたが、
神社のように「御神鈴」が供えられており、簀の子に小さな鈴が無数に結び付けられていたのが印象的でした。
静寂な境内には、古びた社もあって、素朴な信仰心を伝えていました。
お水送りの舞台・閼伽井戸
緑の美しい神宮寺の境内。
この中で、特に行きたかった場所がありました。
それがこの閼伽井戸(あかいど)です。奈良東大寺二月堂の「お水取り」で「若狭井」から汲まれる水は、
この閼伽井戸から汲まれる水。
毎年3月2日の「お水送り」では、神宮寺から山伏姿の行者や白装束の僧侶らを先頭に3,000人程の松明行列が、ほら貝の音とともに2km上流の鵜の瀬(うのせ)へ向かい、河原で護摩が焚かれた後、白装束の住職が祝詞を読み上げ、竹筒からお香水(こうずい)を遠敷川(おにゅうがわ)へ注ぎます。
このお香水は10日かけて東大寺・二月堂の「若狭井」に届くといわれ、奈良のお水取りは3月12日に行われます。
鵜の瀬にも行きたかったのですが、少し離れているので、今回は断念しました。でもこの井戸の水が、奈良に届くというのが本当に不思議。当時大陸にあった渤海や新羅からの人々が訪れた小浜と奈良は、昔はもっともっと強く結ばれていたのかもしれません。
そういえば平安時代中期、若狭に北宋の商人らが来航したため、当時の一条天皇が彼らを越前国に移し、漢詩に巧みな藤原為時(紫式部の父)を越前守に任じたということもありました。
「大陸からの窓口」というとついつい大宰府など九州北部を連想しますが、若狭や越前などの日本海側も、とても重要な拠点だったのですね。
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