空印寺を訪れる時には、事前に連絡しよう
2022年5月22日(日)、福井県小浜市の寺社を巡る機会がありました。
若狭神宮寺、若狭国の一宮である若狭彦神社(上社)と若狭姫神社(下社)を参拝した後
八百比丘尼(やおびくに)伝説で知られる空印寺を訪れました。
今までは山の近くの寺社でしたが、今度は海の近く。少し距離もあるのでタクシーを利用しました(2,000円)
約10分ほどで到着。拝観料は1人400円でした。
この寺院は「住職が不在の場合もあるため、事前に連絡が必要」とネットの情報にあり、私たちは前日に大まかな時間を連絡し、当日タクシーの中で到着時間を追加連絡しました。実際、法事などがあると拝観できないので、事前に連絡した方が安心だと思いました。
酒井家の菩提寺空印寺 あの京極高次夫妻も住んだ若狭守護館跡に建つ寺院
この地は昔、若狭の守護館があった場所で、戦国時代以降もこの地の支配者は、平和な時にはこの館で暮らしていました。
関ケ原の戦いで大津城に籠城して活躍した京極高次は、戦後の論功行賞で若狭一国を与えられ、小浜城を築いて城下町も整備しました。城が完成するまで、京極高次と初(お市と浅井長政の娘たち「浅井三姉妹」の次女)もここで暮らしていたようです。
高次の死後、息子の忠高(母は側室)の時代に出雲へ移り、その後に小浜城主となった酒井忠勝(「徳川四天王」酒井忠次の遠縁)の法要を営むため、寺院を整備しました。酒井忠勝の法号「空印」から、空印寺と呼ばれています(曹洞宗)。
ずらりと並んだ位牌は壮観。
窓から見た、酒井家墓所。
こちらも歴代小浜藩主の墓所らしく、門や塀よりも高い立派な墓碑が並んでいました。
八百比丘尼伝説と小浜
八百比丘尼とは、人魚の肉を知らずに食べてしまい、そのおかげで不老長寿(800歳の長寿)を得た比丘尼=尼のこと。常に16,7の少女のような美しさだったそう。
北海道と九州南部以南を除く、日本各地に伝わっている伝説だそうです。
とりわけ小浜では、八百比丘尼生誕の地とされる場所がいくつかあり(あの「鵜の瀬」説もあり!)、
晩年を過ごした神明神社(空印寺からは徒歩15分ほどらしいですが、今回は訪問は断念)もあります。
そしてここ空印寺には、八百比丘尼の入定(にゅうじょう=僧侶などが瞑想するように没すること)した洞窟もあるのです。
空印寺で祀られている、八百比丘尼の像。確かに美しい!
住職が調べた各地の八百比丘尼伝説の資料もすごい!
八百比丘尼にちなむ、小学生?が書いた新聞などもあり、この地方では彼女がとても身近なのだなと思えました。
八百比丘尼の入定洞 「永遠の生命」を得るのは幸せか
いよいよ八百比丘尼の入定洞へ。
住職が鍵を開けて、私たちを入れてくれました。
内部は本当に真っ暗! ほとんど何も見えませんが、ひっそりとここで生涯を終わりたかった彼女の気持ちはなんとなくわかります。永遠の若さと美貌に恵まれた彼女は何度も夫など愛する家族に死に別れ、知り合いも皆死んでしまったため出家し、各地を巡って善行を積み、椿を植えたと伝わります。でもやっぱり、永遠に生きることは、辛いことなのかもしれません。できれば故郷で、永遠の眠りにつきたかったのでしょう。
空印寺では、彼女は山に入って亡くなったけど、魂が安らぐ場所が欲しくて当時の住職の夢枕に3度立ち、海の近くの自然の洞窟にお祀りした。それが入定洞だと伝わってるそうです。江戸時代には女性たちの信仰が、とても篤かったのだとか。
洞窟は施錠されているため、事前に予約しておかないと、内部は見学できないようです。注意してくださいね。
映画やアニメなどの悪役が、「永遠の生命を手に入れて世界征服だ!」と野望を抱くというストーリーがありますが(最近DVDで見た『インディジョーンズ最後の聖戦』もそうでした)
私は八百比丘尼の伝説を知ったり、手塚治虫の『火の鳥』を少しだけ読んだこともあり
「永遠の生命を手に入れても、自分の愛した人は皆死んでしまうから、別れの辛さと孤独を感じながら永遠に生きる」というマイナスイメージしか(今はまだ)、湧いてこないのです。
それに大河ドラマを見ていると、領主や殿は結構大変そうで、世界征服なんて面倒くさいことこの上なさそう。
そもそも日本の伝説では、「永遠の生命」や「世界征服」に憧れる人はいるのかな?
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