佃煮の香り漂う佃島
2025年1月5日からスタートしたNHK大河ドラマ『べらぼう』は、主人公の蔦屋重三郎を中心に、江戸中期の様々な人物が登場します。昨年6月8日(土)に東京に行く機会があったので、ドラマに登場する人物ゆかりの地とその周辺を巡ってみることにしました。
地下鉄月島駅から佃島公園へと歩いていると、どこからともなく、とてもいい香りがしてきます。
この佃島は佃煮発祥の地として知られ、創業1837年の「佃源(つくげん)田中屋」や

創業1843年の「天安本店」など、老舗の佃煮専門店が複数あります。

昔ながらの町並みが色濃く残る、とても素敵な場所でした。
佃島の住吉神社
佃煮は、佃島の漁民が、悪天候時の食料や、出漁時の船内食とするために、自家用として小魚や貝類を塩や醤油で煮詰めたものが始まりとも言われています。
そんな佃島の漁民や、海運業に携わる人々が篤く信仰したのが、佃住吉神社。

神社の近くにある佃まちかど展示館は、土日はあいにく休館だったのでちゃんと見ることはできなかったのですが、珍しい「八角神輿」があるのだとか。

参道の鳥居も立派なのですが

境内にある鳥居の扁額が、とても立派でした。なんと、陶器でできています。陶器でできた扁額なんて、初めて見ました。

1882(明治15)年に陶器問屋から奉納されたもので、扁額の文字は、書道の達人・有栖川宮幟仁(たかひと)親王の筆なのだとか。

手を清める水盤舎(欄間をしっかり見るべきでした!)と

拝殿。この拝殿には、神社の由来が書かれているのですが、

これは関西人の私たちには、とても身近な話題でした。
徳川家康と佃の深い関係
まだ豊臣秀吉が天下人だったころ、徳川家康が上洛し、摂津国の多田神社(清和源氏の祖廟として知られる 現・兵庫県川西市)を参詣した際
摂津国西成郡田蓑嶋(たみのじま)の漁民たちが、神崎川の渡船で家康に奉仕し、その恩賞として全国の漁業権や税の免除を認められます。家康は、漁民たちに田も作るように命じたため、田蓑の地名は佃に改められました。「田蓑」の地名を残すため、この地の住吉神社は「田蓑神社」と改称。

そして家康が江戸に国替えとなった際には、佃の漁民33人と田蓑神社の宮司が江戸に向かい、隅田川河口の石川島南側にあった干潟を幕府から拝領。そこを埋め立て、故郷の名にちなんで「佃島」と名付け、故郷と同じ住吉神社を建立したのです。
東京の佃島の故郷・大阪の佃にある田蓑神社。中州の北にあって、東京佃島の住吉神社とよく似た位置関係だなと思いました。

神社はこんな感じ。

紀貫之の歌碑や

「謡曲 芦刈 ゆかりの地」碑の他(昔は、芦が群生していたそうです)

「佃漁民ゆかりの地」碑もあります。

大阪で大相撲が開催される3月には、田蓑神社は玉ノ井部屋の稽古場所になっていました。

今でも東京と大阪の佃小学校は、交流があるとか。徳川家康と大坂漁民との出会いから始まる両者の縁は、現代もまだ続いているようですね。
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