『べらぼう』ゆかりの地+αの旅8  回向院(中編) 山東京伝の墓と鳥居清長碑

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山東京伝の墓を探せ!

2025年1月5日からスタートしたNHK大河ドラマ『べらぼう』は、主人公の蔦屋重三郎を中心に、江戸中期の様々な人物が登場します。昨年6月8日(土)に東京に行く機会があったので、ドラマに登場する人物ゆかりの地とその周辺を巡ってみることにしました。

『べらぼう』ゆかりの地+αの旅2  浴恩園跡と、石川島人足寄場跡

2025年1月23日

『べらぼう』ゆかりの地+αの旅1  蔦屋耕書堂跡と日本橋の本屋たち

2025年1月22日

中央区から江東区の霊巌寺(れいがんじ)、墨田区の回向院(えこういん)を訪れた私たちは、

『べらぼう』ゆかりの地+αの旅7  回向院(前編) 力塚と鼠小僧の墓

2025年1月28日

『べらぼう』ゆかりの地+αの旅5  江東区霊巌寺にある松平定信の墓

2025年1月26日

江戸中期のベストセラー作家・山東京伝(さんとうきょうでん)の墓を探し回りました。幸い回向院の案内図を貰うことができたので、鼠小僧の墓の近くを注意深く探してみると、見つけました! 山東京伝。本名岩瀬醒(さむる)の墓です。でも案内板はなくて、わかりにくい。大河ドラマ放映をきっかけに、改善されるかな?

岩瀬醒は蔦屋重三郎が活躍した時代、深川木場の質屋の長男として生まれながら、浮世絵師としては北尾政演(まさのぶ)、戯作者としては山東京伝と号し、蔦屋重三郎や、風間俊介さん演じる鶴屋喜右衛門と組んで数々の傑作を世に送り出した人物です。しかし寛政の改革で、吉原や深川の遊里を描いた彼の洒落本(『仕懸(しかけ)文庫』他2冊)が寛政の改革で処罰の対象となり、風紀を乱したとして手鎖50日の刑を受けます。出版した蔦屋重三郎は、罰金刑(一説では財産の半分を没収されたとも)を受けました。

彼の墓は、弟で同じく戯作者となった山東京山(きょうざん)、本名岩瀬百樹(ももき)の墓と隣り合っていました。兄の京伝は56歳で亡くなったけれど、弟は90歳の天寿を全うしました。大河ドラマ『べらぼう』では、彼ら兄弟はどのように描かれるかな?

歌麿以前の美人画の主流 鳥居清長

回向院の境内には、他にも興味深いものがありました。この石碑は浮世絵の美人画がレリーフではめ込まれ、「鳥居」という文字が刻まれています。

近くでよく見てみると、2013(平成25)年に建立された「鳥居清長碑」。

鳥居清長とは江戸時代中期の浮世絵師で、堂々たる八頭身の美人画で大人気でした。回向院に葬られましたが、地震や戦災などで墓石が失われ、没後200年を前に彼の画業を顕彰する碑が建立されたのです。よく見ると、市川猿之助さんや坂東玉三郎さん、鳥居派9代目の鳥居清光さんの名もありました。

西村屋与八(大河ドラマ『べらぼう』で、西村まさ彦さん演じる地本問屋)は、鳥居清長の作品を最も多く出版した版元として知られています。しかし1787(天明7)年、師匠の死により清長が鳥居家4代目を襲名すると、鳥居家の家業である看板絵や番付などの仕事に専念せざるを得なくなり、美人画から遠ざかってしまいました。

このタイミングで蔦屋重三郎は、鳥居清長とは全く違う新しいタイプの美人画を描く喜多川歌麿を売り出します。八頭身の全身像だと顔は小さくなり、皆同じような顔立ちになってしまいがちですが、歌麿は大首絵(バストショット)で顔を大きく描き、女性たちの様々な表情や個性、さらには内面をも描き出し、大成功を収めるのです。『雛形若菜の初模様』ではしてやられた重三郎ですが、その借りを歌麿の美人画で「倍返し!」かな。

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