松江大橋の畔にあった富田旅館跡
2025年5月4日(日)午後、前日には訪れることができなかった、小泉八雲ゆかりの場所を訪れました。大雄寺(だいおうじ)や松江藩主の菩提所になっている月照寺を参拝し、
小泉八雲(この時はまだ帰化していなかったので、正確にはラフカディオ・ハーン)が日本で最初に英語教師として教鞭をとった島根県尋常中学校跡や、ハーンの後ろ姿のレリーフがあるカラコロ広場を訪れた後、
彼が松江に到着して、最初に滞在した宿を訪れました。その宿は、松江大橋の畔にある富田旅館。旅館の2階に、ハーンはしばらく滞在していました。
現在は「大橋館」となっています。

残念ながら、宿泊も食事もできなかったのですが、なかなか素敵な旅館でした。

1879(明治12)年に開業した富田旅館を継承しており、リニューアルしながら頑張っておられるようです。驚いたのは、若旦那がアメリカ生まれのサモア人なんですね。ハーンとセツ夫妻を豊富ととさせます。

石碑や案内板もありました!

大橋館の湖畔側も素敵です。館内には、ハーンがほれ込んだ松江の彫刻家(発明家としても有名)荒川亀斎(きさい)の作品もあるのですが、それはこの旅館で飲んだ酒の代金として置いて行った「質草」なのだとか。
松江の観光キャラクターに遭遇
これはハーンとは関係ないのですが、旅館の前にあった石像です。「雨粒御伝(あまつぶおんでん)」という、年中雨の多い松江市の、雨粒をモティーフにしたキャラクターシリーズの1人「雨粒澄伝(あまつぶとおでん)」。

松江城を巡る堀川沿いに8体の異なるキャラクターがいて、大橋館の前にあるのは、そのうちの1つなのです。
説明版によると、感性を研ぎ澄ませ、集中力を高めてくれるそう。額の印を触るとご利益アップというネット記事を後で見つけたのですが、どこに印があるのか、よくわかりませんでした。それにしても「雨が多い」という、観光にはマイナス面が多い要素を、「美肌県しまね」や「雨粒御伝」で逆手に取っているのはすごい!
富田旅館でのハーンの日常
最後に紹介するのは、富田旅館の女将・富田ツネが語ったハーンの生活ぶり。
ハーンは旅館では、旅館の浴衣ばかり着ていたそう。これには旅館のご主人夫婦も、さぞ驚いたことでしょう。また朝食は、毎日牛乳(この時期の松江には、牛乳配達がありました)と目玉焼き。目玉焼きは大好物だったようで、ハーンは「エッグスフーフー」と呼んでいたそうです。逆に嫌いな食材は糸こんにゃく。「worm」(ミミズや芋虫など、細長い虫)を連想するからだそうです。私は、糸こんにゃくは麺類を連想させるので、好きなんだけどな。
ハーンは目が悪いため、旅館の女中が目を患うと心配になり、女将やその女中を連れて、眼病にご利益があるという一畑(いちばた)薬師を参詣したこともありました。
富田旅館でのエピソードからは、ハーンの人間味が伝わってくるようです。
温泉は、松江しんじ湖温泉から湧き出る温泉で、神経痛、筋肉痛、慢性婦人病、冷え性、慢性皮膚病、疲労回復、健康増進などに効能があるとか。今回は無理だったけれど、一度入ってみたいな。
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