大河ドラマで学び直せる日本史 大久保利通と精忠組(『西郷どん』第20話)

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『西郷どん』第20話は、西郷隆盛のいない鹿児島が主な舞台になりました。

犬好きの西郷どんの家より先に、隣の大久保家に犬(しかもお由良さまの狆!)がやってきたり、久々に郷中での剣術(薬丸示現流?)の稽古が紹介されたりしましたが、メインテーマは大久保利通が囲碁で島津久光に接近する話でしょう。

損得抜きで囲碁が好き?

昨年の大河ドラマ『おんな城主直虎』でも紹介されていたように、囲碁は戦国時代、とても盛んになりました。

戦いのシミュレーションとして、また頭脳を鍛えるために江戸時代も囲碁は盛んで、島津久光も囲碁好きでした。

西郷隆盛が奄美大島に潜居となり、権力を握らないとこの状況を打破できないと考えた大久保利通は、友人の税所篤(さいしょあつし)の兄が吉祥院の住職をしており、久光の囲碁相手であったことを知りました。

久光に接近するために必死に囲碁を学んだというイメージが強い大久保利通ですが、それ以前から(記録では17歳の時から)囲碁は大好きだったようです。

ドラマでは、命がけの囲碁(?)で久光に接近した大久保さん。

でも、ドラマのストーリーとしては、昨年の白い碁石のエピソード(特に最終回の「石を継ぐ者」)の方が感動的でしたね。あれは泣けました。

精忠組とは

今回、突然登場した「精忠組」ですが、この名前は島津久光が名付けたわけでも、彼らが元々名乗っていたのでもなく、後世の命名だそうです。

「藩に殉じた悲劇の士」とされた薩摩藩士・秩父季保(すえやす)が愛読したとされる『近思録』(朱子学の入門書)を輪読するために、西郷隆盛や大久保利通、税所篤、有村俊斎、吉井友実、伊地知正治らが結成し、のちにそれが発展しました。

盟主は西郷隆盛で、奄美大島に彼がいる間は大久保利通らが主導し、水戸藩と共同して大老井伊直弼を暗殺し、京都への出兵を行うという「突出」を計画していたのです。

ドラマとは違い、最初は大久保さん、大老暗殺に大乗り気だったのです。

でも藩主の島津忠義や国父の久光から、軽挙妄動を抑制されて頓挫してしまいます。

桜田門外の変と薩摩藩

結局井伊直弼暗殺には、薩摩藩を脱藩した有村次左衛門のみが参加し、大老の首級を上げました。

しかし戦闘で深手を負い、絶命(享年22歳)。

桜田門外の変を知ると、兄の有村雄助はそれに呼応しようとしたのですが、幕府に藩士が捕らえられることを恐れた薩摩藩に捕縛されてしまいます。

そして鹿児島に護送され、藩の命令で切腹処分となりました(享年26歳)。

彼らこそ、西郷どんの郷中仲間である有村俊斎の弟たちだったのです。

ドラマではこのあたりの説明があまりなく、桜田門外の変も一瞬で終わってしまったように思われました。

お由良さまの狆のエピソードを、もう少し短くしたら何とかなったのでは?と思ったのは私だけでしょうか。

井伊直虎や直政、小野政次が見ていたら悲しんだかも。

島津久光と大久保利通

精忠組のメンバーの中には、このような藩の対応に不満を抱き、あくまでも「突出」を主張する一派もいましたが、大久保利通がそれを抑制。

島津久光も精忠組の取り込みを図り、大久保や吉井友実、税所篤らを側近に抜擢し、活躍させました。

やがて久光は、精忠組の主張する「突出」ではなく、兄の斉彬が成しえなかった幕政改革を企図した出兵を考えるようになるのです。

兄の斉彬を尊敬し、同じように学問好きだけれど、薩摩から出たこともなく無位無官。

標準語ではないお国言葉(薩摩弁)を話す島津久光の中央政界デビューを助けるため、「西郷吉之助を呼び戻す必要があります!」と大久保さんが久光に進言するのも、もう間もなくかな?

今回気づいたこと

大河ドラマの場合、昨年の『おんな城主直虎』や、一昨年の『真田丸』、或いはそれ以前の作品からずっと見ているという熱心なファンが多いと思います。

囲碁関連のタイトルや、予告編で流れた桜田門外のシーンから、『直虎』ファンは、何か前作を思い出させるものがあるかと、期待していたかもしれません。

ついつい、私は期待してしまいました。

今回のタイトル「正助の黒い石」を見ながら、「石(きっと遺志や意志も)を継ぐ」というのはこんなにも難しいのだなと考えさせられました。

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