前回の『西郷どん』で、西郷隆盛は第一次長州征討を戦わずして解決しました。
第一次長州征討のご褒美
あまりドラマで大々的に描かれていなかったけれど、第一次長州征討では、西郷隆盛はまだ「大島吉之助」という名前でした。
それを元の「西郷吉之助」に戻すことに尽力したのが、小松帯刀です。
第一次長州征討が終わった直後に、「西郷吉之助」に戻すことができました。
当然、藩主やその父・島津久光の許可が必要ですが、西郷を嫌っていた久光も、西郷姓に戻すことを許したわけです。
島津久光からは西郷に、感状や拵刀(こしらえがたな)という褒美も出されました。
よかったですね。島津久光のこういう話もちゃんと書いてほしい。
参勤交代の復活
ところで今回、参勤交代の復活が薩摩に報じられますが、これは禁門の変の翌月に決定されたことでした。
島津久光が尽力した文久の改革で、参勤交代は3年に1回となり、大名の正室と嫡男を人質にするという制度も廃止され、帰国が認められました。
しかしその結果、長州藩は禁門の変で幕府勢力と武力衝突。
第一次長州征討でも、戦いに消極的な藩は、幕府に積極的に協力しませんでした。
このため幕府は、参勤交代の復活を打ち出すのですが、これが大ブーイング。
結局従わない藩も多く、幕府の決定的求心力低下が露見することとなってしまいます。
ところでなぜ、この件で久光さまは西郷どんを叱っているのかな?
怒りの矛先は、一橋慶喜に向けたほうがいいのでは?と思うのですが。
西郷隆盛の結婚
第一次長州征討の翌年、1865(慶応元)年1月に鹿児島に戻り、藩主に報告を済ませた西郷は、1月28日に家老座書役(隆盛と同じ家格)・岩山直温(なおあつ)の次女・糸子と結婚しました。
帰郷から結婚まで、1カ月もないという慌ただしさ。
薩摩藩士の有川矢九郎が、妻の従兄弟にあたる糸子をいきなり連れてきて、西郷に結婚を了承させたそうです。
押しも押されもせぬ薩摩藩の実力者に嫁がいないと不都合だ!と、周囲が考えたのは事実でしょう。
公開嫁探しや川口雪蓬(せっぽう)先生のプロポーズ(もしかして「革命」の旗を持ってきた?)にも驚きましたが、糸子の離縁の理由にもびっくり(例の「生産性」発言の記憶もまだ生々しいので)。
結婚時の年齢は、隆盛37歳、糸子21歳と言われています。
16再年下なので、ドラマでの「幼馴染設定」はあり得ない!と、新聞記事等でも話題になっていましたね。
糸子の離縁の理由はわかりません。ドラマだし、「やっぱり夫が好きになれなかった」ではダメだったのかな?
性格のいいヒロイン、しかも男性に従順な薩摩おごじょ(女性)が離縁されるなんて一体何をしたの?と確かに疑問ですが、「子供ができなかったから」って安易に片づけている気もします。
気になる身長差と大家族
西郷隆盛は身長180cm近い大男。
一方妻の糸子は、身長150cmあるかないかという華奢な女性だったそうです。
実は西郷は、篤姫や京都のお虎さんみたいに、健康的で大柄な女性が大好きだったようで、その点糸子は、好みのタイプではなかったと思います。
結婚の時同居していたのは、西郷家の次男・吉二郎(31歳)と妻のマス、子の美津と勇袈裟(ゆうげさ)の4人家族と、四男・小兵衛(17歳)と数人の使用人。
妹たちは3人ともすでに嫁ぎ、三男・従道(つぐみち)(21歳)は京都の隆盛宅に居候していましたが、西郷家は相変わらず大家族の極貧生活でした。
しかし吉二郎夫妻が穏やかな優しい人柄で糸子を支え、糸子も明るい人柄で、よく大家族となじんだようです。
それにしても、ドラマでは美津が誕生したばかりでしたが、実際はもう1人子供がいたのですね。
それからもう1つ、この頃の西郷家は、借金の返済のため下加治屋町の家を売り、上之園の借家暮らしだったのですが、ドラマでは相変わらず、昔ながらのご近所付き合いが描かれているようにも思いました。引っ越しをしたというのは、ちゃんと描かれていたのかな? 忘れてしまいました。
グーグルマップによると、新しい家は下加治屋町から徒歩10分くらいの距離のようです。
今回の気づき 最強の留守部隊結成!
結婚から8日後に、西郷は藩命で福岡や京都に向かい、1年のうち1カ月ほどしか鹿児島にはいなかったと言われています。
これから西郷夫婦は、どのように描かれていくのでしょうか。
兄思いの吉二郎夫妻、優しくしっかり者の糸子、そして学問があり、手紙の返信から男手の必要な作業まで何でもこなす有能秘書の川口雪蓬、頼れる下男の熊吉。
これだけ揃えば、もう何も言うことはありません。
1人こちらに分けてほしいと思わせる、最強の留守部隊。
彼らが鹿児島の西郷家を守り、西郷どんは安心して、京都で政治活動をするという流れになると思うのですが、またまた家庭を顧みないことにならないかな?
西郷どんには、須賀さまの時の失敗を、ぜひ忘れないでほしいものです。
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