3つの見どころがある安平樹屋
ベルトラ現地ツアーで台南市の安平地区を訪れた私たちの、次の目的地は「安平樹屋」。ここも入場料は、億載金城と同様、ツアー代金に含まれています。個人で行く場合は、1人50元。
廃墟がガジュマルの木に飲み込まれているという、とても不思議な、幻想的な光景が「インスタ映え」するのか、今とても人気のあるスポット。私も動画を見て、とても行きたくなりました。
でも、この「樹屋」だけではない見どころがあるのです。
この素敵な洋館の中にも入れますよ!
見どころ1 朱玖瑩故居(朱玖瑩の旧居)
運転手兼日本語ガイドの陳さんが、最初に案内してくれたのが、中国湖南省出身の書家・朱玖瑩の旧居。
作品展示や、書道体験コーナーもありました。朱玖瑩は、書道の学習方法を後世に伝えたことでも有名。書道を練習するためのグッズも、売店で販売されていました。
私も久々に筆で文字を書いてみましたが、背筋が伸びる思いがします。字がうまくなりたい!
2階には、文字をアートにしたような、面白い作品がたくさん展示されていました。書道の面白さに、あらためて気づきました。
見どころ2 徳記洋行(歴史資料館)
徳記洋行は、1867年イギリス商人によって設立された貿易商社です。
先ほど紹介した白亜の洋館も、徳記洋行の建物で、内部は歴史資料館になっていました。
徳記洋行の歴史が紹介されています。茶葉の輸出を主に行っていたようでした。「フォルモサ(台湾)のウーロン茶」と書かれていますね。
他にもアヘンや樟脳、砂糖などの台湾物産も扱い、保険と銀行の代理も行っていました。
1858年、アロー戦争(第二次アヘン戦争)の結果開港した安平には、イギリスやアメリカなどの外国商社が開設され、徳記洋行など大きな商社は「五代洋行」と呼ばれました。
当時のイギリス商人は、こんな部屋で生活していたのかな。食器も家具も素敵です。
続いて台湾の歴史を知るコーナーへ。
どれだけの重さを昔の農民は運んでいたのか、天秤棒で体験できます。
台湾に大型ネコ科動物なんていたのかな?と思って調べたら、ウンピョウが絶滅していたのでした。
司馬遼太郎さんの『台湾紀行』に書かれていたので、台湾の元々の表記「大員」のことを知っていました。この辺りは、密輸業者や倭寇と呼ばれた海賊たちにとって、最高の基地だったのです。
台湾の物産として有名な鹿皮。日本では、よろいや兜などの武具や馬具などによく使われました。左は大坂の大商人、末吉孫左衛門が出した朱印船(末吉船)。
1624年、オランダが本格的に台湾に進出。明と8カ月間戦い、ついに明はオランダ人が台湾に移ることを認め、オランダによる本格的な植民地経営が始まりました。上の写真はオランダ東インド会社総督のクーンです。
オランダ人の時代から、鄭成功、そして清朝の支配へと、時代は移り変わります。
日本との交易についての展示。「南蛮貿易」として知られるポルトガル領マカオと日本とのルートも、必ず補給基地として、台湾周辺を通過しました。
商館員の給与や物価についも、わかりやすく展示されています。
陶磁器も、海外交易の取引では重要な物産。安平でも焼かれたようです。
昔から安平地区で使われていた船。竹で作られた筏のようなものみたいです。
台湾の歴史を初めて知る人でもわかるように展示されていましたが、少しでも歴史を知っておくと、もっと楽しめるかもしれません。「樹屋」だけかなと思って訪れると、びっくりするくらいのボリュームでした。
見どころ3 安平樹屋
最後に案内されたのが、いちばん有名な「安平樹屋」。
この「樹屋」はもともと徳記洋行の倉庫でしたが、日本が台湾を統治すると、日本政府がアヘンや樟脳などの大口取引権を回収して専売とし(ほかの外国商社は次々撤退)、唯一営業を続けた徳記洋行も貿易量が減少。
この建物は、1911年に大日本塩業株式会社安平出張所の倉庫とされました。
台湾独立後、台湾総塩工場の事務所になりますが、事務所が移転すると残された倉庫は荒れ始め、たくさんのガジュマルが生い茂るようになりました。
ガジュマルは生命力が強く、自らの繁殖地をどんどん拡大していきます。
また排他性も強く、ほかの植物を見つけることは難しいそうです。これは知らなかったのですが、そういわれれば確かにそうですね!
昔、カンボジアのタ・プローム寺院遺跡を訪れたのですが、そこもガジュマルの浸食が激しくて、そのときのことをずっと思い出していました。
とにかく、不思議で少し不気味な、非日常的な光景です。『天空の城ラピュタ』の樹木よりも、この建物のガジュマルの方がもっと生命力が強そうで、怖くなるくらいでした。
その他の見どころ
生命力が強くて怖い!と思ったのはガジュマルだけでなく、樹屋を出たところにある「生態池」に住む魚たち。
魚の餌が売られているのですが、ものすごくたくさんの魚が、人影を見るや餌をくれそうな場所に集まって、今や遅しと口を開けて待っています。餌をあげるともう大騒ぎ!
これだけ数が多いと、ガジュマル並みのパワーです。圧倒されてしまいました。
ブリッジ歩道から、樹屋を見るのもお勧めです。
階段を上がって、2階相当の高さから、ガジュマルを見下ろします。
上から見ると、また違った角度から、ガジュマルの生命力のすさまじさを感じることができました。
長い間、廃墟と化していた樹屋は、2000年頃から三期にわけて整備が行われたようです。
妖しく、神秘的なガジュマルの生命力に触れた、日本では絶対できない素晴らしい体験でした。
売店も充実しており、とうとう赤崁楼でも見かけた鄭成功ビールと鄭成功ポテトチップスを購入してしまいました。どちらも35元です。
書道や芸術が楽しめ、台湾の歴史も学べ、そしてミステリアスな光景に出会える(素敵なインスタ映えする写真も撮れます)安平樹屋は、安平地区では見逃せないスポットだと思います。ぜひ一度お越しください。
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