2024年2月10日(土)、初めてJR木次(きすき)線に乗り、出雲横田駅で下車して徒歩で「奥出雲たたらと刀剣館」に向かった私たち。
徒歩20分ほどで目的地に到着し、現代アートの八岐大蛇(やまたのおろち)にごあいさつした後
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いよいよ館内の見学です(入館料大人1人530円)。
奥出雲のたたら製鉄とは
「たたら製鉄」とは、日本で古代から近世(江戸時代)にかけて発達した製鉄法で、炉に空気を送り込むのに使われる鞴(ふいご)が「たたら」と呼ばれていたために名付けられた名称。
奥島根は、八岐大蛇の尾から「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」が取り出された神話が示すように、昔から製鉄が盛んでした。
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上の写真は、斐伊川(ひいかわ)の下流で、砂鉄を採取するために使われていた船。
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たたらも奈良時代からあったようですが(上の写真は、復元された奈良時代のたたら炉の炉底部分)
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江戸時代になると、別名「天秤鞴(てんびんふいご)」と呼ばれる大規模な「たたら」が登場し
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この「たたら」を使う炉も高性能かつ規模の大きなものになりました。
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これは「たたら炉」の構造模型ですが、地表に見えている部分だけでなく
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地下構造も巨大で複雑。たたら操業を安定させるため、保温と乾燥を追及すると、こういう構造になるんですね。
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日本刀の原料となる「玉鋼(たまはがね)」は、このたたら製鉄でしか生産できません。
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館内には多くの日本刀も展示されており
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日本刀にはまったく詳しくない私たちも、その美しさには圧倒されました。
たたら製鉄の伝統を守る人たち
館内には、現在日本国内で唯一、玉鋼を供給するために復活した「日刀保(にっとうほ)たたら」(公益財団法人日本美術刀剣保存協会が直接に運営するたたら)に技術を伝えた人々や、現在活躍している人々の紹介パネルがありました。
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以前、NHKスペシャル「玉鋼(たまはがね)に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」という番組を見たのですが、「村下(むらげ)」と呼ばれるたたら職人のリーダー・木原明さんも紹介されていました。
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別棟には、日本刀の鍛錬所もあります。毎月第2日曜日と第4土曜日は、ここで日本刀鍛錬の実演も行われます(その時の入館料は、大人1,270円)。鍛錬をされている様子の撮影はできないようです。気を付けてくださいね。
生活の中に生きるたたら製鉄
今回印象に残ったのは、「たたら炉」や「たたら」、日本刀などの他、たたら製鉄と生活との意外なつながりでした。
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たとえば、この「たたら」は三日三晩踏み続けなければならず、踏む人=番子(ばんこ)が交代で作業を続けたことから「かわりばんこ」という言葉が生まれました。
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ジブリ映画『もののけ姫』に登場する地踏鞴(じたたら)。2人1組で、シーソーのように操作するそうです。この動きが、悔しがって地面を激しく踏むのに似ており、「地団太(じだんだ)を踏む」の語源になったとか。
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たたら製鉄では、大量の砂鉄や木炭、釜土を消費します。そのため「鉄穴(かんな)流し」という砂鉄の採集方法が確立し、農閑期に山を切り崩して砂鉄を含む土砂を川に流して選別し、森林も伐採されました。
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しかし山を切り崩した跡地は棚田として再生され、森林も伐りつくさないよう、約30年周期の輪伐を繰り返し、循環利用されていたのです。
木次線沿線でよく見かける棚田のある光景も、ここで成り立ちを知ると、とても興味深く見ることができました。
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