2018年8月19日(日)に阿寒湖温泉を訪れた私たちはまず遊覧船に乗り、雄大な大自然の絶景や神秘のマリモを見ることができました。
次の目的地は、阿寒湖アイヌコタンです。
阿寒湖アイヌコタンとは
コタンとは、アイヌの集落という意味です。
昔々、学生時代に阿寒湖を訪れたことはあったのに、ここにアイヌコタンがあるとは知らず、アイヌコタンといえば白老アイヌコタンしか知りませんでした。
阿寒湖アイヌコタンは1959年に形成されたものらしく、現在では北海道でも有数の大規模なコタン(36戸、約120人が生活)になっているのだとか。
阿寒湖温泉街にはあちこちに看板があるし、昼食を食べた郷土料理奈辺久の店内に、こんなポスターがあるのを見つけたので、余計に行きたくなりました。
夜の部のイオマンテ(火祭り)も気になったのですが、夕食後にホテルから出るのもおっくうに思われて、結局遊覧船観光が終わった後、16:30の古式舞踏を見ることにしました。
コタンの入り口から別世界!
アイヌコタンというものに行ったことがないので、まず入り口にびっくり。
コタンの入り口にいるのは、シマフクロウではないでしょうか。アイヌコタンってどこもこんな感じなのかな? まるで別世界に来たようでした。テーマパークというと失礼だけれど(今でも生活の場)、本当に観光化されていました。
ずらりと土産物屋が並んでいて、これも伝統的な日本の家屋と全然違っていて、どこか北ヨーロッパ風(もしくは山小屋風雨?)の、エキゾチックな建物です。
土産物屋だけでなく、アイヌ料理のレストランもあるのだとか。
コタンの中にもシマフクロウがいました。
なんだかネイティブアメリカンのトーテムポールに似ているようなモニュメント。
上の写真は、コタンの中心にあるカムイニ(神の木)です。
奥に進んでいくと、昔の「小屋」みたいな建物もありました。見学してみたい場所は多いけれど、古式舞踏開演まであと少し! アナウンスも流れています。急がねば!
やっとたどり着いたのが、古式舞踏が行われるアイヌシアターイコロ。
アイヌコタンは無料で入れますが、シアターは有料で、大人1人1,080円。ホテルやコタンの商店で前売り券も販売されているようですが、私たちはそれを買う時間がありませんでした。
これも後でわかったことですが、公式サイトのこのページに前売り券があり、それを印刷して持参すれば、大人が980円になります。ご活用ください。
アイヌの伝統舞踏
アイヌ古式舞踏は、国の重要無形民俗文化財であり、2009年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
公演時間は約30分で、字幕(英語・韓国語・中国語表記もあり)で解説がつきます。
宴の前に歌われ、行器(ほかい=食べ物を外へ持ち出すときの器)の蓋をたたきながら女性が歌う「座り歌(ウポポ)」、鶴の鳴き声や羽ばたきをモチーフにした鶴の舞(サロルンリムセ)、ムックリ(口琴)の演奏や、男性による「弓の踊り(クリムセ)」などがありました。
「心臓比べの踊り」とも呼ばれる、「黒髪の踊り(「フッタレチュイ)」は、松の木が風に揺れている様子を表現しています。
長い髪の女性が頭を前後、左右に振って踊る、とてもハードな踊りです。歌舞伎の「連獅子(れんじし)」で、赤と白の毛をぶんぶん振り回す様子と似ています。
お盆の投げ合い(ヘクリサラリ)には、観客から2人が参加。最後の踊りも、みんなで一緒に輪になって踊りましょう!というものでした。
シアターになっているためか、撮影は禁止されていました。昔は撮影はOKだったのかな? YouTubeで動画を見つけてきましたので、その一部をご覧ください。
ちなみに、これも後で知ったことですが、21:00からのイヨマンテを鑑賞する場合は、ホテルから送迎バスサービスもあるらしいです。
また、シアターでは公演の合間に、伝統文化を指導してくれたりもするそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。
日川民芸店でムックリの特訓!
アイヌシアターで聞いたムックリの音色に感動し、夫がムックリを欲しいと言い出しました。聞いたことのない方のために、動画を用意しました。
阿寒湖アイヌコタンに入ると、ムックリの音が迎えてくれたりもします。
渦巻き模様が素敵な日川民芸店がシアターの近くだったので、まずクマよけの鈴を購入し(1,800円)、店の奥さんと話しながら、ムックリも欲しいと相談。
どこの店でもムックリを買う客には、演奏方法をレクチャーしているようですが、この店の奥さんも厳しく指導してくれました。しかもなぜか、言い出しっぺの夫ではなく、私が指導を受ける羽目に。
生来不器用で、手首のスナップの効かせ方もよくわからない。でも奥さんに左手を動かないように固定してもらい、何とかあの独特の音が数回出せるようになりました。
伝統的なムックリ(700円)に比べると、まだ簡単に音が出る「やさしいムックリ」(800円)もあり、夫は両方とも購入。練習してね。
余談 翌日あの人が訪れていた!
私たちが阿寒湖アイヌコタンを訪れた翌日の8月20日(月)、安倍政権で観光やアイヌ政策を担当する菅義偉(すがよしひで)官房長官が、阿寒湖アイヌコタンを訪れていました。
菅官房長官が北海道訪問 アイヌ文化や外国人旅行者誘致の取り組みなど視察(YAHOO!JAPANニュースサイトより)
「アイヌ文化のすばらしさを、世界の人々に理解してもらうことが、国際親善に大いに貢献できる」(菅官房長官)とのこと。
再来年の東京オリンピックを機会に、アイヌの文化や歴史を世界の人に知ってもらいたいと話したそうです。
1997年に、北海道旧土人保護法が廃止され、アイヌ文化振興法が制定されましたが、アイヌの文化は(特に言語)守られていくでしょうか。
北海道命名150周年を迎える年に、ふと考えさせられました。
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