2019年9月7日(土)、四条河原町周辺で、京都の名水巡りをしました。
この日の昼食は、円山公園にある平野屋本店で頂くことにしました。
この店の名物は、「いもぼう」です。
「いもぼう」 その材料とは
「いもぼう」という料理は、他の土地ではあまり耳にしないのではないでしょうか。
海老芋と、棒鱈を炊き合わせた、京都の伝統料理です。
まず、この材料からして一般的ではないですね。
海老芋というのは里芋の仲間で、形状は湾曲しており、表面には横縞があり海老のように見えることが名前の由来だそうです。
江戸時代中期(8代将軍吉宗のころ)、九州地方で栽培されていた「唐芋(とうのいも)」を京都に持ち込んだのが、海老芋の始まり。
青蓮院宮(しょうれんいんのみや)が長崎土産として持ってきた唐芋を託し、栽培して海老芋にしたのが、平野屋のご先祖・平野権太夫なのだとか。
以前、年末に錦市場を歩いたときに、海老芋も売られていました。
ちょっとわかりにくいですが、金時人参の奥です(全然海老芋のことは、この時意識していませんでした)。
そしてもう1つの材料・棒鱈とは、タラの干物のこと。
これも年末の錦市場で売られていました(右手前)。
海産物保存食の代表として、盆や正月、祭りなど「ハレの日」に食べる食材です。
平野屋の棒鱈は、遠く稚内からきているようでした。
和室で頂く伝統の味
この日は予約なしで訪れたのですが、正午前に来たこともあり、すんなり入店できました。
私たちが通された部屋です。
この日は暑かったので、夫はいもぼう御膳(2,700円)、私は夏季限定のいもぼう清涼御膳(3,240円)を注文して、比べてみることにしました。
まず、どちらにも含まれているいもぼう。
海老芋は、粘り気に富みよく締まった粉質の肉質、優れた風味と少しの甘みがあり、煮ても煮崩れせず、色も変化しないという特徴を持ち、里芋と違って高級食材。確かに煮崩れしていません。
棒鱈を戻すのに1週間から10日、両者を1日以上かけて炊き上げるという、とても手のかかる料理。
海老芋にも棒鱈にも味がよく沁みていて、柔らかかったです。300年間、一子相伝で変わらぬ味を守り続けているのだとか。
ちなみに海老芋が高価なので、庶民は里芋と棒鱈(昔は安価)でいもぼうを作るそうです。
いもぼう御膳は、いもぼうの他、ひと口ごま豆腐やお吸い物、ご飯、香の物の他
祇園豆腐がついてきます。
中村楼の祇園豆腐と全然違うのでびっくり!
一方、いもぼう清涼御膳の大きな目玉は、何といってもそうめん!
扇形の器には、生ゆばの刺身が盛られています。ひと口ごま豆腐やお吸い物、ご飯、香の物はいもぼう御膳と共通。
祇園豆腐の代わりに、西京とろろ汁とデザートもついてきました。
祇園豆腐は食べてみたかったけれど、やはり涼し気なそうめん(しかも豪華!)や生ゆばが食べられた、いもぼう清涼御膳にしてみてよかったかな。
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