白峯神宮はサッカーの聖地
前回は、京都白峯神宮の主祭神である2人の天皇について、紹介しました。
そのとき、保元の乱で崇徳上皇側で戦った源為義・為朝父子にちなむ「伴緒社」が境内にあり、武道上達の守護神であると紹介しました。
しかしそれだけでは、現在の白峯神宮の人気は説明できません。
なんと、修学旅行で学生が行きたい神社のベスト10に入っているのだとか!
その理由はこれ。
サッカー上達の神として、全国のサッカーファンから熱い視線が向けられているのです。
その理由は、崇徳上皇や淳仁天皇でもなく、地主社(じしゅしゃ)にあったのです。
精大明神と平安のファンタジスタ
この白峯神宮がある場所には、元々飛鳥井家(公家)の邸宅がありました。
飛鳥井家の祖・藤原成通(院政を開始し、崇徳上皇の実父と噂された白河上皇の側近)は蹴鞠の名手であり、後の世にまで「蹴聖」とたたえられた人物。
彼は蹴鞠庭に立つこと7000日、うち2000日は連日蹴り続けたそうです(ちなみに上の写真は、白峯神宮にある蹴鞠庭)。鞠もとても丁寧に扱い、供物を捧げて祀ったりしました。
そんな彼に感謝するため、3人の鞠の精が姿を現しました。
彼らは幼児の姿ですが、手足は猿という奇怪な姿をしていました。蹴鞠が行われているときは自分たちも遊べるけれど、蹴鞠がないときは、柳の下でおとなしくしているのだそうです。
藤原成通のおかげで毎日遊べるとお礼を言いたい。そのために正体を現した鞠の精を、飛鳥井家では「精大明神」と名付け、代々祀っていました。
この土地の「先住者」だから、「地主社」として祀られているのです。
今ではサッカーはもちろん、あらゆるスポーツの聖地になっているようですね。
奉納のボールがすごいです!
地主社の説明板には、確かに童子の姿が描かれていますが、言い伝えとは異なり、とてもかわいく描かれています。
よく見ると「保元の乱」としっかり書かれていますね。崇徳天皇が、こんな所にも顔を出していそうです。
ちなみに鞠の精は、「人々が蹴鞠を愛好する時代は国も栄え、よい人が政治をし、福がもたらされ、寿命も長く、病気もない。また、人の心はたえず思い乱れるものだが、蹴鞠の愛好者は庭に立てば毬のことだけ考えるので心が軽くなり、輪廻転生にもよい影響を及ぼす縁が生まれ、功徳も進む」と、蹴鞠の功徳を説いたそうです。
サッカーやスポーツにも当てはまるかな?
昭和30年に出現した龍神を祀る「潜龍社」
最後に紹介するのは、昭和30(1955)年の御火焚祭の際、火炎の中から出現した!という龍神を祀る潜龍社。
江ノ島の龍神のような怖い龍神ではなく、
笑っている龍「笑い龍」が祀られているようです。かわいい!
「笑う門には福来たる」。先の見えない世の中ですが、この笑い龍のように、笑って生きていきたいですね。
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