『遠野物語』の里にSLが走る!
2022年8月28日(日)、初めて岩手県の遠野市を訪れました。
利用した交通機関はJRでしたが、遠野駅で気になるものを見つけました。
この駅名標は、どうみても普通のJR東日本の駅とは思えません。しかも外国語表記が、英語ではなさそうなのです。もしかしたらこれは、宮沢賢治が好きだった人工言語・エスペラント語かな?
伝承館のレストランで、このポスターを見つけたのでなんとなく状況がわかりました。SL銀河という、JR東日本の釜石線(釜石~花巻)を走る観光列車。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をイメージしているようですね。
『銀河鉄道の夜』が大好きなので、いつか乗りたいなと思っていると、まさに今日、そのSL銀河の花巻行が遠野駅に停車するらしいのです。でも花巻への到着時間が少々遅れるので私たちは泣く泣く乗車をあきらめ、もう1本早い13:08遠野駅発の普通列車に乗車することにしました。
後で調べてみると、客車の老朽化などで、SL銀河の運行は2023年の春で終了とのこと。2023年の1月・2月の運行はありません。
2022年の最終運航日は12月4日(日)です。乗りたいなら、ぜひ早めに乗っておきましょう!
遠野駅のホームで見た、憧れのSL銀河
普通列車に乗ろうと遠野駅のプラットホームに出てみると、思いもかけないSL銀河の姿があって大興奮!
なぜこんなことになっているのか訳が分からなかったのですが、後で調べてみると、遠野駅には12:12到着。発車は13:31となっていました。
1時間以上、遠野駅に停車してくれていたのです。
各車両のデザインが美しい! 青がきれい!
先頭の機関車C58です。
中はどうなっているのかな? 乗ってみたいなと、未練たらたらでした。ちなみに内部については、SL銀河の公式HPで詳しく紹介されています。予想以上の豪華さでした(こちらをご覧ください)。
顔ハメパネルもなんとなくロマンがありますね。
めがね橋を走るSL銀河を撮影する楽しみ方もあり
今回は訪れる機会がありませんでしたが、遠野駅から6つ目の駅・宮守駅近くに架かる宮守川橋梁(別名「めがね橋」)を通過するSL銀河を撮影するファンも多いと聞きました。
めがね橋とSL銀河は、遠野市公認マスコット・カリンちゃんの背景にも描かれていますね。
私たちが乗る確定の普通列車でも、めがね橋を渡るので、せめてめがね橋の写真だけでも撮影しようと、列車最後尾の窓からシャッターチャンスを待ちます。
上手く撮影できたかな?
美しい駅名標
宮守川橋梁の撮影を終えて、ほっと一息。宮守駅の駅名標を見ていると、これもとても美しいデザインなのでびっくり! 遠野駅は大きな駅だから特別かなと思っていたのですが、釜石線すべての駅がこうなのかな?
「Galaksia Kajo」(ガラクシーア・カーヨ:銀河のプラットホーム)とも書かれています。これは絶対英語じゃない! エスペラント語だという確信が高まりました。
駅内部の装飾も、銀河鉄道っぽい。
そして到着した花巻駅。
釜石線のすべての駅名が紹介されたポスターがありました!
この写真だと小さくてよく見えない!という場合は、こちらをご覧ください。調べてみると、駅には愛称がつけられており、外国語表記はすべてエスペラント語。デザインされたイラストは、隣接する駅と合わせると1つの絵になるように工夫されています。
ちなみに遠野駅に隣接する青笹駅の愛称「河童」は、Kapao(カパーオ)でした。
花巻駅は、虹という愛称。どの駅の駅名標もとても素敵で、釜石線沿線がうらやましくなりました。
宮沢賢治の世界
宮沢賢治が生きていたころの花巻駅は、JR東日本の前身である国鉄の駅ではなく、岩手軽便鉄道という民間鉄道(宮沢賢治の母方の祖父も株主)の駅でした。
『銀河鉄道の夜』は、この岩手軽便鉄道の沿線風景をモチーフにしたと言われています。
小説の「銀河鉄道」は蒸気機関車ではなく、アルコールか電気で走るようですが、『銀河鉄道999』の影響か、どうもSL(蒸気機関車)でないと雰囲気に合わないような気がしてしまいます。人気作品の力は恐ろしい。
SL銀河の出発&到着駅の花巻駅では、SL銀河の乗客へのおもてなしとして、(不定期ですが)宮沢賢治の作品にも描かれた郷土芸能の「鹿踊(ししおどり)」が演じられるそうです。
こんな素敵な列車が運行終了とはもったいない。何とかリニューアルして存続する手立てはないものでしょうか。
コメントを残す