2022年12月30日(金)、福江島2日目です。この日は終日、五島タクシーの中野運転手に、島内を案内していただきました。
日本最古の「ルルド」のある教会
映画『悪人』やNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』のロケ地となった大瀬崎灯台を見学した後、
私たちはカトリック井持浦(いもちうら)教会を訪れました。
実はこの教会には、日本最古の「ルルド」があり、世界からも多くの巡礼者が訪れる場所なのです。
教会の解説板にも大きく紹介されています。でもそもそも「ルルド」とは何なのか? カトリックになじみのない人にはわかりにくいかもしれませんね。
聖母が出現した町ルルド 聖なる泉が病を癒す
「ルルド」というのは、1858年に聖母マリアが出現したというフランスの町で、私たちは2016年12月に訪れました。
1858年(日本では「安政の五か国条約」が結ばれ、外国との貿易が開始された年)、14歳の貧しい少女・ベルナデッタがルルド郊外のマッサビエルの洞窟で薪拾いをしていると、聖母マリアが姿を見せ、世界の人々の改心のため、また世界平和のため、ロザリオの祈りを唱えるよう勧められました。
聖母は出現のあかしとして、洞窟の岩の下の泉をベルナデッタに教え、この泉の水を飲んだり体を浸したりすると、不治の病が完治するという奇跡も起こりました。
1862年にバチカンのローマ教皇庁もこの奇跡を公認し、教会堂が建設されます(上の写真は建設された教会「無原罪の御宿り大聖堂)。そしてヨーロッパだけでなく、世界各地から、病を癒すなどの目的で多くの巡礼者が訪れるようになりました。
奇跡の泉の水は、飲んだり持って帰ったりすることも可能です。飛行機には液体物を持ち込めないので、私たちは現地で全部飲みました。おかげさまで家族全員、それ以後大きな病気はしていません。
ルルドの町には、ベルナデッタ(1879年没 1933年「聖女」となる)が洗礼を受けたサクレクール教会もありました。
教会のファサード(外観正面)にある写真が、聖女ベルナデッタです。ちょっとインパクトが大きい外観でしたが、写真に撮影された最初の聖人らしいので、これも仕方ないのでしょうか。
彼女が洗礼を受けた洗礼盤(左下)も残っていました。
五島にもルルドを造ろう! 神父と信者たちの熱意が実を結ぶ
この奇跡にあやかり、その後世界各地でこのルルドの泉を模倣し、聖母マリア像を収めた「ルルド」が造られるようになるのです。そして各地の「ルルド」でも、病気の治療例が見られました。
1873年に日本の禁教令が撤廃されると、フランス人のペルー神父は故国ルルドの泉を、五島にも造ることを計画。
その場所を福江島西端の井持浦天主堂脇と定め、全五島の信徒に呼びかけて各地の奇岩珍岩を集めて洞窟を造り、井戸も掘りあててルルドの泉を建設しました(1899年完成)。
完成後、ペルー神父は本場ルルドの泉水(奇跡の泉水)を注ぎ入れ、ルルドから取り寄せた聖母像を洞窟に収めました。
その後日本各地に「ルルド」が建設されますが、カトリック井持浦教会のルルドは、日本最古のルルドとして、今でも多くの巡礼者を集めているそうです。聖なる水を飲んでみたかったな。
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