東京大学大学院理学系研究科附属植物園
NHK連続テレビ小説『らんまん』もそろそろ大詰め。
主人公のモデルとなった高知県出身の植物学者・牧野富太郎のゆかりの地・高知県を昨年訪れる機会があったのですが
今年の春も、ゆかりの地をいくつか訪れる機会がありました。
最初にご紹介するのは、東京大学大学院理学系研究科附属植物園。
一般には「小石川植物園」の名で呼ばれている場所です(東京都文京区)。
ドラマ『らんまん』の東大植物学教室で活躍した人々が、ここで観察や実験、研究にいそしんでいたのですね。
この日(2023年3月18日)はあいにくの雨で、園内もほとんど人がいません。
牧野富太郎に関する展示もあったのですが、なぜかこの日に限って、会場の柴田記念館が休館。とても残念!
園内には椿の花が咲いていて、根元には落花がいっぱい。
なぜ椿の花は上向きに落ちるのか。その疑問を解くために、物理学者の寺田寅彦と手紙のやり取りなどもしていたという、牧野富太郎の随筆を思い出しました。
波多野教授のモデル・池野成一郎ゆかりのソテツ発見! でもイチョウを見逃した
ところでいつものことながら、あまり下調べもせず現地を訪れ、どうせならあれもこれもと欲張る旅行プランの為、植物園の滞在予定時間はそんなに長く予定していませんでした。
牧野富太郎の展示も見られないし、雨の植物園はあまり長く外を歩くのに向いてなくて、
温室を見学した後は
早々に帰ることにしました。
唯一、収穫があったのは、牧野富太郎の友人で語学の天才でもあった池野成一郎(当時は東大の分校である農科大学助教授)が、1896年に精子を発見したソテツがあったこと。
『らんまん』では、波多野教授のモデルの1人とされています。波多野教授と言えば、彼と一緒に研究し、イチョウの精子を発見した画工出身の助手・野宮さんも忘れることができません。
野宮さんのモデルは、画工出身で1894年にイチョウの精子を発見し、1896年にはイチョウの精子を世界で初めてプレパラートで確認するという偉業を成し遂げた平瀬作五郎(上は小石川植物園のパンフレットより)。
牧野富太郎の随筆にも、来る日も来る日も銀杏の薄切りをして顕微鏡をのぞいていたと書かれています。しかし1897年に大学を去り、彦根中学に転出しました。
絶対この植物園のどこかに、この平瀬作五郎ゆかりのイチョウがあると思ったのですが、広い園内だし、雨だし、諦めてしまいました。その時は、彼のエピソードが『らんまん』のドラマに登場するかも不明でした。
そのイチョウの場所はここです。温室の近くにあったのですね。今度は気候のいい、そして天気のいい時に行ってみたいな。
ちなみに小石川植物園の公式サイトには、『らんまん』に登場した今は亡き田邊教授のモデル・矢田部良吉や、徳永教授のモデル・松村任三、そして池野成一郎、平瀬作五郎、もちろん牧野富太郎も写真付きで紹介されていました。詳しくはこちらをご覧ください。
最新情報! 標本館が大ピンチ!
さて、2023年9月15日(金)、このような記事が新聞に出ました。
小石川植物園の標本館と言えば
3月にも前を通ったのですが、まさかこんなことになっていたとは。確かにこの時も古そうに感じましたが、雨漏りもしていると記事に書かれていてびっくり。
『らんまん』には、神戸の若き篤志資産家・永守さんが登場して、万太郎のピンチを救おうとします。永守さんのモデルは、神戸の資産家・池長 孟(いけなが はじめ)で、実際に牧野富太郎の借金の肩代わりをし、植物研究所も設立しました。
牧野富太郎が発見した「ヤマトグサ」の標本もあるらしい小石川の標本館も、だれか篤志家が現れてドーンと寄付してくれないかな。私も少額ながら寄付をしました。デジタル化する世の中ですが、実物の標本でないとできない研究もあるし、標本館の役割はまだまだ大切だなと思いました。
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