美しい湧き水が出る松本市
長野県松本市は、松本城や旧開智学校など、多くの見どころがある美しい街ですが、実は周囲の山々から湧き出る清らかな水を地下に蓄えた街でもあります。

お城の近くには、大名小路井戸や

辰巳の御庭。そして縄手通り商店街の近くには、なわて若返りの水など、大きな街にしては珍しく、市街地の中に数多くの湧き水がありました。

松本市の湧き水は、美ヶ原高原などの豊かな自然がはぐくんでいるようでした。
湧き水では安曇野市も負けてない! 大王わさび農場は大人気の観光地!
湧き水と言えば、松本市に隣接する安曇野市も負けていません。ここの湧き水は皆、北アルプスで生まれた水なのだとか。
その清らかな湧き水を利用して、栽培されている作物がありました。それが、わさびだったのです。
2020年7月、松本を訪れた私たちは、松本城や旧開智学校などを見学した後、
安曇野市の人気観光地・大王わさび農場に向かいました。
松本駅からはJR大糸線で穂高駅で下車し、タクシーに乗ったのですが、安曇野周遊バスに乗れたら便利ですね。

農場への入場料は無料です。すぐ目につくのが、こういう風景。

これが「わさび田」です。

直射日光に弱いわさびのため、4月から9月末までは、黒い「寒冷紗」という布でわさび田を覆っています。

そして大切なのが、この美しい湧き水。豊かな湧き水に恵まれた安曇野市には、他にもわさび園がありますが、この大王わさび農場は日本最大規模。

わさび田に引かれる湧き水は一日12万トンで、水温は年間通して12℃だそうです。

栽培されているわさびをこんなに近くで見たのは、生まれて初めてでちょっと感動。こんな植物だったのですね。

もちろんわさびグルメも充実。ちょっとわさびが苦手な私でも、わさびビールや

わさびソフトクリームは食べることができてよかったです。

わさびを育てる美味しい湧き水も飲むことができました。
坂上田村麻呂と闘った八面大王伝説
「大王」わさび農場の「大王」とは、この地を治めていた魏石鬼八面大王(ぎしきはちめんだいおう)。安曇野に広く伝わる伝説上の人物です。
東北追討を進める初代征夷大将軍・坂上田村麻呂が、朝廷軍のために安曇野の人々から貢物を取り立てていたのですが、民の苦しみを見かねて八面大王が立ち上がり、田村麻呂と闘いますが討たれてしまいました。朝廷軍は大王が生き返ることを恐れて体をばらばらにし、この辺りには胴体を埋めたとする塚があったとか。

農場には、大王窟・開運洞(今も大王は、わさび田を守っています)や

「大王さまの見張り台」などゆかりの場所もあります。見張り台は大王が住んでいた岩屋を復元したもの。安曇野の人々にとって、八面大王は英雄なのですね!

頂上には謎の丸い石が置かれていました。この上に立ってみたら、まさに辺りが一望できそうです。
黒沢監督の見た絶景
日本映画界が誇る巨匠・黒澤明監督の『夢』という映画では、この農場がロケ地になっています(第8話「水車のある村」)。

このロケ地が本当に素晴らしい。

緑の木々や川の色が美しく、

本当に夢のような、どこか幻想的な風景です。

奥の白い川が一般河川の万水川(よろずいがわ)、手前が100%湧き水の蓼川(たでがわ)。2つの川は合流しても、水質などの違いから、しばらくは混じることなく流れ続けるのだとか。面白いですね。
この美しい川を、安曇野汽船のクリアボートで巡ることもできます。私たちが訪れた時はコロナ禍で中止でしたが、今は復活。乗りたかったな。
コメントを残す