そもそも「お茶屋」とは
2024年4月20日(土)の午後、金沢の尾山神社や金沢城玉泉院丸庭園を散策した私たちは、次に主計町(かずえまち)茶屋街やひがし茶屋街を見学。
これら「茶屋街」には今もお茶屋があるのですが、そもそも「お茶屋」って何だろう(単にお茶を出す店は、「茶屋」として区別する)と気になったので、調べてみました。
実はお茶屋は、あの朝の連続テレビ小説『らんまん』主人公のモデル・植物学者牧野富太郎の妻・壽衛子(すえこ)が、大正時代に渋谷で経営していた「待合茶屋(まちあいちゃや)」とほぼ同じ。
お茶屋は仕出し屋から料理を取り寄せ、芸妓を呼んで客と飲食や遊興をする場を提供します。芸妓らの「花代」や、料理や酒の代金などは、全てお茶屋が支払います。その代金は、全てお茶屋が客から回収しなければなりません。信頼関係がない、初めての客=「一見(いちげん)さん」には、料金を踏み倒すのではないか、犯罪者ではないか、不祥事を起こすのではないかなど、心配が尽きませんよね。
現在も京都や金沢などの花街のお茶屋は、原則「一見さんお断り」の世界でした。
6年前に行けなかった「志摩」を見学! 粋な大人の社交場
その「一見さんお断り」のお茶屋内部を見学できるのが、「志摩」という店。江戸時代後期(1820年)に創立された格式の高いお茶屋で、国指定重要文化財の建物です。
実は2018年2月、1泊2日のHISバスツアーで金沢を訪れたのですが
その時「志摩」には行けず、少し残念な思いをしていたのです。今回やっと、見学ができました(入場料500円)。
お茶屋の2階が客間で、身分社会だった江戸時代、町人にわずかに許された娯楽と社交の場でした。客は上流町人や文人たちで、お茶屋で遊ぶためには客にも芸妓にも、幅広く高い教養や技能が要求されたのです。
壁はベンガラ塗りで、とてもあでやかな空間。柱は漆塗りです。
普通の住宅なら必須の、物入や押し入れはなく、あくまでも遊興のための、開放的で粋な造りです。
そして、芸妓が控えている部屋。お客が床の間を背にして座ると、その正面の襖が開くと同時に、あでやかな舞や遊芸が披露されるのです。
ベンガラ塗りの部屋だけでなく、離れには数寄屋造りの部屋も。個人的には、こちらの部屋の方が落ち着きそうです。
お茶屋の1階は店のための空間
2階が客をもてなす華やかな空間であるのに対し、1階はスタッフルーム。
2階からも庭を見ることはできますが
やはり1階から見る方が、典型的なお茶屋の庭を堪能できます。女将の部屋からは、庭が見渡せて落ち着けました。
石灯籠がいい感じ。
1階は、お茶屋の女将や使用人の空間。台所もありましたが、基本的に客や芸妓は仕出し料理を食べます。
「みせの間」には、かつて使われていた食器や酒器などが展示され、拡大鏡で見てみると
加賀蒔絵の細かい模様が、よくわかります。
芸妓がかつて使っていたかんざしや櫛、
江戸時代の貨幣体系なども展示されていて、江戸時代にタイムスリップしたような気分にさせられました。
なお、「一見さんだけどお座敷遊びを体験したい!」という方のために、「お座敷遊び体験」プランも実施されています。詳しくはこちらをご覧くださいね。
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