パリ・マレ地区 テロ事件の舞台はユダヤ人やLGBTのコミュニティ

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マレ地区とテロ事件

マレ地区と聞いて、私がすぐに思い浮かべたのは、少し前にテロ事件の舞台になった場所ではないのか、ということでした。

2015年11月13日(現地時間)、パリで起きた同時多発テロ事件で大きな犠牲者の出た場所として知られるバタクラン劇場は、北マレ地区になります。

この劇場では、きゃりーぱみゅぱみゅさんも公演を行い、パリのロック界では「伝説の劇場」とされていたとか。

劇場周辺を含むマレ地区は、普段は治安がよく、若者に人気の流行発信スポットで、ファッショナブルな店が多く観光客も増えているエリアだと紹介されていました。

有名紅茶店・マリアージュフレール本店もありました。

まだオープンしていない時間帯だったので、今回は見送りましたが、ここにはカフェも併設されていて、日本人にも人気だそうです(日本茶もあるそうです)。

今回のマレ地区訪問では、適当に足の向くまま、ポンピドゥー・センターからヴォージュ広場周辺を歩き回っただけなので、事件の舞台になったところは訪れていないのですが、やはりちょっと緊張しました。

マレ地区とユダヤ人

後日調べてみると(ここも今回訪れていないのですが)、この地域には有名なユダヤ人街であるロジェ通りがありました。

フランスではユダヤ人は少数派になりますが、それでもイスラエル、アメリカ合衆国に次ぐユダヤ人人口を抱えています。

またフランスのムスリム人口も西ヨーロッパでは最多で、両者の緊張状態が高まっているようです。

実際、パリ同時多発テロ事件で襲われたバタクラン劇場は、40年間にわたってユダヤ人が劇場所有者で、親イスラエル的なイベントを盛んに行っていたことで、襲撃の対象になったようです。

襲撃の2ヶ月前にこの所有者は劇場を売却してイスラエルに移民し、事件当日はアメリカのロックグループがコンサートを開いており、特に親イスラエル的な要素はなかったと思われるのですが、テロ実行犯にはそんなことは関係なかったのでしょうか。

ユダヤ人がテロの標的になりやすいというのは、2015年1月に起きたシャルリー・エブド襲撃事件に関連して、ユダヤ食品専門スーパーマーケットも襲撃され(この店はマレ地区ではありません)、居合わせた客らを人質にして立てこもり、人質のうち4名が死亡したという痛ましい事件からもわかります。

また1982年には、ユダヤ料理店「ゴールデンバーグ」で複数のテロリストが6人を殺害し22人を負傷させるというテロ事件を引き起こしています。

ユダヤ人が襲撃されやすいというのは、事実かも知れません。

マレ地区自体はとても治安がいいのですが、気をつける必要がありそうです。

様々な人が集うマレ地区

ロジェ通りのユダヤ人街も少数派コミュニティになりますが、他にもマレ地区には、少数派のコミュニティがあると知りました。

1つめは中国人のコミュニティ。

マレ地区北部に中華街があるようです。

第1次世界大戦の時、フランスは戦場にいる兵士たちに代わる労働力を必要としており、中国は戦争に参加させないことを条件に、数千人の市民を送ることを決めました。

終戦後、彼らの一部はパリに残ることを決め、これが現在の中国人コミュニティの起源になりました。

もう1つが最近注目されているLGBTのコミュニティ。

レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と身体の性別に差のある人)の頭文字を取った表現がLGBTです。

マレ地区は、1980年代に始まったLGBTカルチャーの中心であり、多くのゲイカフェやナイトクラブ、キャバレー、ショップなどが集まっています。

私は気付かなかったのですが、娘がポンピドゥー・センターの近くで、LGBTの象徴である虹色の旗を見たと教えてくれました。

LGBTの人達も、ユダヤ人もムスリムも中国人も、色々な価値観を持っているけれど、同じフランス国民です。

まだまだ少数派である彼らへの偏見があるのは事実ですが、将来に向けてこのマレ地区を舞台に、融和と共存が模索されていくのではないでしょうか。

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