天竺殿の永井直勝像 池田恒興を討ち取った武将だった
2023年、京都府宇治市の興聖寺(こうしょうじ)を訪れました。
美しい琴坂や、法堂(はっとう)の「血天井」に驚きながら
更に拝観を続けます。次に訪れたのは、天竺堂という建物。
日本における曹洞宗最古の道場として創建された興聖寺ですが、室町時代後期の応仁の乱など兵火に遭い、衰微してしまいました。
江戸時代、3代将軍家光時代の1633年、この地を支配する淀藩主として永井尚政が入国し、領内の寺社を見回った際に興聖寺の廃絶を惜しみました。そして両親の菩提の為、伏見城の遺構を用いて現在の地に(興聖寺は、元は京都市伏見区深草に建立された)諸堂を建立整備したのです。最初からこの地に建っていたわけではなかったのですね!
その永井尚政像と、
父の永井直勝の像がありました。私は初めて知ったのですが、この永井直勝は、小牧長久手の戦いで織田信長の乳兄弟だった池田恒興(つねおき)を討ち取ったというすごい人。
その激戦の際、左手人差し指を打ち落とされたそのままの姿を像にしたそうです。確かによく見ると、指が不自然かな?
開山堂と僧堂
開山堂はその名の通り興聖寺の開山・道元をはじめ、歴代の住職を祀った建物です。
道元が梅の花を好んだことから、「老梅庵」の額が掲げられていました。
次に訪れた僧堂は、修行僧の生活の基本となる場所。この建物で寝起きし、食事をし、座禅をするそうです。
ここに安置されている三面大黒天は、中央に大黒天、右側に福徳の毘沙門天(青色)、左側に知恵を司る弁財天の顔(白色)とあわせて強いご利益があるのだとか。
以前バスツアーで訪れた、比叡山延暦寺の大黒堂でも、三面大黒天を拝観したことを思い出しました。
僧堂の中では、座禅や写経体験も行われるとのこと。
誰もいなくても、厳しい空気が漂っていそうです。
座布団を見ると、丁寧な説明が書かれていて、初心者にも座り方をやさしく指導してくれそうだなと思いました。
修行僧の生活の場だから、庭も美しい。きっと手入れも、修行の一環として修行僧がやっているのでしょう。
庫裏と山門
最後にどうしても見たかったのが、庫裏(くり)。修行僧の食事を作る台所がある場所です。
台所に入ることはできませんでしたが、広くて清潔な台所を見ることができて、大感激。今日は何人分の料理を作っているのかな。
興聖寺を訪れた理由の1つが、大好きだったNHKのドラマ『京都人の密かな愉しみ』で、謎の「雲水はん」やその老師の寺院として紹介されていたこと。
台所もドラマに出たし、美しい山門(竜宮門のスタイル)も印象的でした。
伊武雅刀さんが演じられた、変わり者だけどおちゃめな老師がいたらいいなと思いながら、静かな禅寺を後にしました。
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