大河ドラマで学び直せる日本史 留守政府の西郷どん その実態1(『西郷どん』第41~42話)

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気の重い留守番

1871(明治4)年7月の廃藩置県断行後、新政府の人事も改まり、西郷は木戸孝允(長州)・板垣退助(土佐)・大隈重信(肥前)と共に参議に就任。

薩長土肥から1人ずつ、参議が出ています(ちなみに大久保さんは、参議より格下の大蔵卿)。

その4カ月後、条約改正を目指す岩倉使節団が出発し、西郷隆盛は留守政府を任される形になりました。

改革がはまだ始まったばかりなのに、政府の半分が海外に行く事態に、西郷は「自分も行きたい!」とは言わなかったけれど、留守を任される大変さは予想していたのでしょう。

「難渋な留守番」をすると、手紙で知人に伝えています。新国家建設というこの大変な時期に!という、使節団への思いもあったでしょう(本来はもう少し小規模な使節だったのに、政治的思惑もあり人数が増えたようです)。

留守政府による改革

岩倉使節団外遊中には重大な改革を行わないという誓約を交わし、使節団は欧米へ出発。

しかし使節団の帰国が大幅に遅れたこともあり、留守政府は次々と改革を進めていくことになりました。

1872(明治5)年には、陸軍省・海軍省や近衛兵(御親兵は解散)、鎮台を設置し、学制や国立銀行条例が制定され、太陽暦を採用。新橋・横浜間の鉄道も開通しました。

この年19歳の明治天皇が西国各地を歴訪し、西郷もそれに供奉して薩摩などを訪問。

1873(明治6)年には徴兵令や地租改正条例が定められ、徴兵令実施により、西郷は陸軍大将兼参議となりました。

改革の全てを西郷が立案したわけではありませんが、その実施にあたっては、強い主導力を持つ西郷の手腕と人望が必要だったと言われています。

長屋暮らしなんかじゃない!真実の東京生活

新政府は明治維新の功労者に、東京の旧大名屋敷を払い下げており、西郷は日本橋蛎殻(かきがら)町・小網町・人形町にまたがる姫路藩主・酒井雅楽頭(うたのかみ)中屋敷(2,633坪)を与えられました。

しかし「広すぎる」として、薩摩の伊地知正治と屋敷を二分し、書生15人と下男7人、犬数頭と暮らしていました。

西郷は犬にはとても執着があり、気に入った犬たちは金に糸目をつけず手に入れました。

犬たちは座敷を走り回り、障子を破ったりするなど、今なら「多頭飼い」で近所から苦情が来る有様ですが、広い大名屋敷で過ごしているので、ご近所トラブルはなし。

ただし客人は、閉口していたようです。

鹿児島でも犬十数頭と暮らし、食客の川口雪蓬(せっぽう)が「人よか犬の方が、よかもんを食うとる」と言ったのは有名な話です。

結果にコミット? 西郷どんのダイエット大作戦!

元々体が見た目ほど丈夫ではなかったような西郷どんですが、この時期、ストレスによる体調不良に悩まされていました。

あまりお酒の飲めない西郷どんのストレス解消法は、食べること。

骨付き豚肉のぶつ切りを桜島大根と一緒に鍋で煮込み、黒糖や麦味噌、焼酎で味付けした鹿児島料理「豚骨」や白米、ウナギの蒲焼かばやきをよく食べ、下戸で甘い砂糖菓子も好物だったようです。いずれも高カロリーメニューですね。

身長178cmなのに体重は108kg。

高脂血症による動脈硬化のためか、胸の痛みを訴えるようになり、心配した明治天皇は、ドイツ人の侍医ホフマンに診察させ、彼の指導の下、ダイエットを始めました。

その方法は、下剤服用とカロリー制限と、しっかりした運動。散歩では生ぬるいと、山歩きを勧められたそうです。

とくに下剤(ひまし油)を1日5回も飲むのは辛かったようで、1日に50回もトイレに行くほど。

これにより、もともと丈夫でなかった胃腸や精神面が、ますます弱ってしまったという説もあります。

カロリー制限により、好物の豚肉や白米も制限され、鶏のささみなどを食べていたようです。ストレスたまってリバウンドしそう。

運動だけは、大好きな犬と一緒に、東京近郊で狩りをしたり、魚取りをしたりと、楽しみながらできたようです。

西郷どんは、狩りが大好きだったのです。

西郷どんと愛加那の子・菊次郎は、「あんなにやさしい父が、どうして(あんなにかわいい!)ウサギを殺して解体し、食べるのが好きなのかわからない」という意味のセリフを『西郷どん』の原作で語っていました。

ともあれ、これだけ過激なダイエットをやったので、一時は体重が80kgにまで落ちたとか。

ただ、いつまでこのスタイルが維持できたかはわかりません。

明治六年の政変で鹿児島に帰ってしまうと、下剤とか糖質抜きダイエットとか、できなさそうですよね。

ストレスは鹿児島の方が少なそうだし、狩りや魚取り、農作業で体は動かしていると思うのですが、無理なダイエットによるリバウンドがなかったことを祈りたいです。

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